結婚してから交友関係に変化があった!という人は多いのではないでしょうか。特に出産後は、昔からの友人と疎遠になる人もたくさんいるようです。

かく言う私も、そのひとり。学生時代に聞いた「子どもができると今の友だちとなかなか連絡を取れなくなることもあるよ。今のうちにいい思い出をいっぱい残して」という母の言葉を、まさに実感中。そんな私の体験談をお話しします。

独身時代に感じた既婚女性との壁

私も学生時代は、“親友”と呼べるほど仲のいい友人に出会い、青春時代を満喫していました。毎日のように会っては恋バナに花を咲かせ、どちらかが傷ついたときには深夜であろうが話を聞いて可能であれば駆けつける。お互い「◯◯ちゃんのことは私が一番よくわかっている」という関係に、酔っていたのかもしれません。

そんな私たちの関係に変化が訪れたのは、友人の結婚が決まったとき。もともと結婚願望が強かった私ですが、当時は恋がうまくいっていない時期で少し嫉妬する気持ちが芽生えたのです。友人の結婚を心から祝福できない自分が嫌になり、そんな心の未熟さから目を背けるように自分からはあまり連絡を取らなくなってしまいました。

友人が出産してから家に遊びにも行きましたが、新しくできたママ友について聞かせてもらったとき、そこでまた寂しさを感じたこともあります。夫婦のことを相談されても、経験のない私にはよくわからないし無責任なアドバイスはできない。育児のツラさも、リアルに共感できない。

私の近況を報告すると「いいな〜楽しそうで!」と言われて、「夫と子どもがいて幸せそうなあなたのほうが羨ましいよ…」となんだかモヤモヤ。帰り道、どっと疲れを感じたことを覚えています。私のメンタルが幼稚だったことが原因ですが、癒しだったはずの友人との時間が、嫉妬に支配されていったのです。

結婚してから感じた独身女性との壁

私に子どもが生まれてから、今度は独身の友人との間にも少し距離を感じるようになりました。アフター5や休日を満喫している友人と、子どもの世話に追われて着飾ることすらままならない私。久々に外で会うと、並んで歩くのがツラかったこともあります。

ランチのお店を選ぶときも「休日にしか行けないようなお店・気になるお店はどこか?」が判断基準な友人と、「子ども連れでも迷惑にならないのはどこか?」が判断基準の私。友人からお店を提案されても「その日は夫も仕事で子どもを任せられないから(子連れでも大丈夫そうな)こっちのお店でもいいかな?」とお願いするたびに、申し訳なさも感じていました。

友人の結婚が決まったときは「これからは野菜の値段について話ができるね!」と、ふたりでウキウキ。妊娠報告を受けたときも、純粋に嬉しい気持ちでいっぱいでした。しかし、その友人は無事に出産することが叶わなかったのです。

それ以降「会おう」と連絡をくれるのは嬉しいものの、子育て中の私がどんな言葉で励ませばいいのか、励ますことで逆に傷つけるんじゃないのか、子どもを連れて行っていいものなのか、友人の前で子育てに関する話をしていいのか、事情がデリケートなだけにかなり葛藤しました。そして、なにを話せばいいかわからなくなっていったのです。

子どものおかげで新たな出会いも

子どもが生まれてから、私にもママ友ができました。今悩んでいることなど、あるある話も共通。行ける・気になるスポットや、活動しやすい時間もほぼ同じで、話題も尽きません。

こうして子どもが新たな出会いをもたらしてくれましたが、ママ友はあくまでも子どもを通してできた友人です。年齢も違えば、これまで過ごしてきた環境も違うという人がほとんど。私自身の友人とはまた違った付き合い方をしなければならないと、肩に力が入ってしまうのも事実です。

出産前にママ友同士のトラブルをテーマにしたドラマを見ていたこともあり、ママ友=機嫌を損ねたらアウト!というイメージを持ちすぎていたのが原因かもしれません。実際は、私の周りにいるママ友は付き合いやすい人ばかりです。しかし、昔のように気の合う人に出会うことは想像以上に難しいと感じることもあります。

友人への執着を手放す

友人関係に大きな変化をもたらすことになった、結婚と出産。夫の交友関係を見ていると、結婚前も今もあまり変わらない気がします。女性のほうが、“話題が同じで共感できること”を求めやすいのかもしれませんね。

そして、一度できた友だちと疎遠になることを私自身が恐れすぎていた気もします。人生のステージが変われば、関わる人も変わってくるもの。どの友人にも「いてくれたおかげで、楽しい日々が過ごせた」と感謝の気持ちもあります。だからといって、ずっと同じような付き合い方をする必要はないのかもしれません。

“親友”という存在に執着して、違和感を覚えながらも「昔と変わらず付き合っていきたい」と無理をしていた私。今では、「縁があればまた仲良くできる日が来るだろう」と自然に思えています。そう考えるようになってから、久々に再会した昔の親友とも「久しぶりだとは思えない!」と感じる時間を過ごせるようになりました。

わが子にも出会いと別れを繰り返して学んでほしい

大人になるほど、友だちって難しいのかもしれませんね。「ただ一緒にいて楽しい、なんとなく気が合う」という気持ちで友人関係を築ける子どもを、羨ましく微笑ましく感じることもあります。

私が学生時代に母からかけられた言葉も、今なら納得。きっと私も数年後、わが子に「今のうちに友だちとの時間をたくさん楽しんで」と声をかけているのでしょう。

桜井 まどか