今年の夏も終盤に差し掛かろうとしていますが、この暑さでエアコンは欠かせないものとなっている家庭が多いのではないでしょうか。屋内にいても熱中症になる恐れがあるため、エアコンをつけっぱなしにしていても仕方がないでしょう。
しかし、それに伴って考えないといけないのが電気代です。ただでさえ近年の物価上昇で値段は上がっていますが、今年の夏はより一層電気代がかかっているのではないでしょうか。
このような状況が続くと、年金受給者のように限られた収入の中で生活する必要がある方の中には厳しいと感じる人が増えていくことが予想されます。
そこで、日本では年金生活者に対して「年金生活者支援給付金」という制度があります。
年金生活者支援給付金とは年金に上乗せして給付金を支給する制度で、厳しい年金生活を支援することが目的として作られた制度です。
今後の年金生活を考える上でぜひ理解しておきたいですね。そこで本記事では、年金生活者支援給付金の支給要件や給付額について解説していきます。
1. 年金生活者支援給付金とは?支給される要件も解説
年金生活者支援給付金は、対象となる方が決まっています。「老齢年金・障害年金・遺族年金」の受給者のうち、前年の所得などの要件を満たす方です。
では、どんな要件を満たす方が給付金を受け取れるのか確認していきましょう。
1.1 【老齢年金】年金生活者支援給付金の支給要件は?
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者である
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税である
- 前年の公的年金等の収入金額※1とその他の所得との合計額が87万8900円以下※2
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まない
※2 77万8900円超87万8900円以下の場合は「補足的老齢年金生活者支援給付金」を支給
1.2 【障害年金】年金生活者支援給付金の支給要件は?
- 障害基礎年金の受給者である
- 前年の所得※1が472万1000円※2以下である
※1 障害年金等の非課税収入は、給付金の判定に用いる所得には含まない
※2 扶養親族等の数に応じて増額
1.3 【遺族年金】年金生活者支援給付金の支給要件は?
- 遺族基礎年金の受給者である
- 前年の所得※1が472万1000円※2以下である
※1 遺族年金等の非課税収入は、給付金の判定に用いる所得には含まない
※2 扶養親族等の数に応じて増額
次章で、年金生活者支援給付金の金額はどれくらいなのかを確認していきましょう。
2. 【年金生活者支援給付金】給付基準額はどれくらい?
2024年度の年金生活者支援給付金の給付基準額は下記のようになっています。
- 老齢年金生活者支援給付金:5310円(月額)
- 障害年金生活者支援給付金:1級 6638円・2級 5310円(月額)
- 遺族年金生活者支援給付金:5310円(月額)
障害年金生活者支援給付金の基準額は、障害等級により異なります。
遺族年金生活者支援給付金については、2人以上の子が遺族基礎年金を受給している場合、上記の基準額を子の数で割った金額がそれぞれに支給されます。
老齢年金生活者支援給付金の基準額は月額5310円ですが、給付額は保険料納付済期間などによって算出されるため、個人によって給付される金額は異なります。
2.1 老齢年金生活者支援給付金の給付額の計算方法
月額5310円を基準に、保険料納付済期間などに応じて給付額が計算されます。
次の①と②の合計が給付額となります。
- ①保険料納付済期間に基づく額(月額) = 5310円 × 保険料納付済期間※1 / 被保険者月数480月※3
- ②保険料免除期間に基づく額(月額) = 1万1333円※2 × 保険料免除期間※1 / 被保険者月数480月※3
ただし、生活者支援給付金を受給することにより、所得が受給要件の金額を超えることのないよう下記の措置がとられています。
- 前年の年金収入額とその他の所得額の合計が77万8900円超87万8900円以下の方には、①に一定割合を乗じた「補足的老齢年金生活者支援給付金」を支給
基礎年金の保険料を480月全て納付していた場合には、月額5310円、年額で6万3720円の生活者支援給付金が支給されることになります。
※1:保険料納付済期間等は、年金証書や支給金額変更通知書等でご確認ください。
※2:保険料免除期間に乗ずる金額は、毎年度の老齢基礎年金の額の改定に応じて変動します。
- 昭和31年4月2日以後生まれの方は、保険料全額免除、3/4免除、半額免除期間については1万1333円(老齢基礎年金満額(月額)の1/6)、保険料1/4免除期間については5666円(老齢基礎年金満額(月額)の1/12)
- 昭和31年4月1日以前生まれの方は、保険料全額免除、3/4免除、半額免除期間については1万1301円(老齢基礎年金満額(月額)の 1/6)、保険料1/4免除期間については5650円(老齢基礎年金満額(月額)の1/12)
※3:大正6年4月1日以前に生まれた方、大正6年4月2日~昭和16年4月1日までの間に生まれた方は、被保険者月数が異なります。詳しくは日本年金機構のホームページをご確認ください。
3. 国民年金・厚生年金、毎月の平均受給額
厚生労働省が公表している「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を見ると、老齢年金の平均受給額がどれくらいかを確認できます。
3.1 国民年金(老齢基礎年金)の平均受給額は?
- 〈全体〉平均年金月額:5万6316円
- 〈男性〉平均年金月額:5万8798円
- 〈女性〉平均年金月額:5万4426円
上記のように全体平均は月額5万6316円で、年額では67万5792円受給することになります。
年金以外の収入がない場合、65歳以上であれば老齢年金生活者支援給付金と対象となります。
続いて、厚生年金(老齢厚生年金)の平均受給額を見てみましょう。
3.2 厚生年金(老齢厚生年金)の平均受給額は?
- 〈全体〉平均年金月額:14万3973円
- 〈男性〉平均年金月額:16万3875円
- 〈女性〉平均年金月額:10万4878円
※国民年金の金額を含む
一般的に、厚生年金は国民年金に上乗せして加入する仕組み上、国民年金より受給額が高くなります。
また、厚生年金は年金加入期間や年収により決定するため、個人で受給額が大きく異なるのが実際です。厚生年金への加入期間が短い、国民年金の保険料納付月数が少ないといった場合には、年金受給額が少なく生活者支援給付金の対象となる可能性もあるでしょう。
4. 新たに「年金生活者支援給付金」の対象となる方は要手続き
本記事では、年金を含む所得が一定額以下の方に支給される「年金生活者支援給付金」について支給要件や給付額を確認しました。
新たに年金生活者支援給付金の対象となる方には、9月頃より順次、「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が送付されます。
給付金を受給するには請求書の提出が必要です。原則、手続きした翌月分から給付金の対象となりますので、請求書がお手元に届いたら早めに返信しましょう。
(すでに年金生活者支援給付金を受給している方は手続き不要)
5. まとめ
今回は「年金生活者支援給付金」の支給要件や給付額について解説しました。
もし今後、年金生活者支援給付金の対象になる世帯には、「請求書(はがき型)」が送られてきます。手元に届いたら、忘れずに早めに返信するようにしましょう。
ただこの給付金はありがたいものの、最近の物価上昇を考えると、十分な支援とは言い難い部分もあります。
だからこそ、将来のために今から少しでも老後資金を準備しておくのが大事になってきます。
「資産運用はちょっと怖い…」と思うかもしれませんが、長期的にコツコツと積立投資をすることで、リスクを分散しながら資産を増やすことができる可能性があります。
株式や投資信託、不動産など、いろんな選択肢がありますが、運用期間やリスク許容度、さらには自分の性格に合った方法で始めるのがポイントです。
6. 【ご参考】年金に関する疑問や不安を解消!よくある質問を解説
「年金は複雑だなぁ…」と思う人は多いのではないでしょうか?でも、ちょっとしたポイントを押さえると、意外と分かりやすくなります。ここでは、年金についてよくある質問を分かりやすく解説していきます。
6.1 年金ってどんな仕組み?
まず、日本の公的年金は「2階建て」の仕組みになっています。土台にあたるのが「国民年金」、その上に「厚生年金」が重なる2階建て構造です。
国民年金
国民年金は、20歳から60歳未満の全員が対象で、自営業やフリーランスの方が主に加入しています。毎月決まった保険料を払う仕組みとなっています。
厚生年金
会社員や公務員が加入するのが「厚生年金」。厚生年金は収入に応じて保険料が変わるので、将来もらえる年金額もその人の収入次第になる部分が大きいです。
6.2 「繰下げ受給」って何?
年金は普通65歳からもらうものなのですが、「もう少し働けそうだし、今すぐもらわなくてもいい」と思う人には、「繰下げ受給」という選択肢があります。簡単に言うと、受け取りを遅らせることで将来の年金が増える仕組みです。
例えば、65歳で受け取る予定を75歳まで遅らせると、年金額が84%も増えます。
もし健康で他の収入源があるなら、繰下げ受給は検討する価値があるでしょう。
6.3 年金や老後資金を増やすには?
「どうやったらもっと年金や老後資金を増やせるのか?」というのは気になるところですよね。繰下げ受給のほかにもいくつか方法があります。
国民年金の付加保険料を払う
自営業やフリーランスの方には少しだけ追加で保険料を払うことで、将来もらえる年金額を少し増やすことができます。
厚生年金に加入する
もし可能なら、厚生年金に加入するのも一つの手です。会社員になったり、厚生年金が適用される働き方を選ぶと、将来もらえる年金が増えます。
資産運用
さらに、iDeCo(個人型確定拠出年金)や投資信託で資産運用をするという選択肢もあります。ただし、運用にはリスクもあるので、始める前によく考えた方がいいですね。
これで、年金の基本が少しクリアになったでしょうか?一歩一歩理解を深めていくことで、将来への準備がしっかり進められるでしょう。




