カードローンは”おいしい”ビジネス。銀行の過剰融資懸念は消えず

地銀はもはやカードローンやアパートローン頼み!?

銀行が自主規制をうたう一方で、カードローン残高は増加中

全国銀行協会は2018年6月12日、加盟116行の4月末時点のカードローン残高を発表しました。それによると残高は4兆4118億円で、前年同月比で2.3%の増加でした。

銀行のカードローンの過剰な貸付が問題になったことから、多くの銀行では審査の厳格化などを進めているとしていますが、融資額が大幅に減少しているわけではないようです。

最高裁がまとめた2017年の個人の自己破産申立件数(速報値)は、前年比6.4%増の6万8791件で、2年連続で増えています。件数は2003年をピークに減少が続いていましたが、2016年には13年ぶりに増加に転じました。日本弁護士連合会(日弁連)は、銀行のカードローンの過度な貸し付けが問題だと指摘しています。

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銀行はなぜ、カードローンなどの個人ローンの拡大に力を入れているのでしょうか。背景には、マイナス金利政策の影響で企業向け融資の利ざやが縮小していることが挙げられます。特に地方銀行にとっては厳しい経営環境が続いています。

一方でカードローンであれば、このような低金利下でも10%超の金利収入が見込めます。実際に多くの銀行では、カードローンが業績に大きく貢献するようになっています。

銀行にとってはリスクが少なくリターンが大きいビジネス

銀行のカードローンの問題が指摘されるようになってしばらくたちます。ただし、「わが行は、カードローンから撤退します」というような銀行はありません。なぜなら、銀行にとって、カードローンはリスクが少なくリターンが大きい”おいしい”ビジネスだからです。

大きな理由はまず、前述したように超低金利下でも10%超の金利収入が見込めること。さらに銀行ならではの顧客との接点を生かして新規開拓ができるのも大きな特長です。

消費者金融業者の場合、いくら無人契約機であっても、運転免許証などの本人確認書類や源泉徴収票などの収入証明書類を用意して申し込みに行くのは大きなハードルです。

ところが、銀行のカードローンであれば、「キャッシュカードにカードローン機能を付加しませんか」というだけでいいのです。銀行によってはATMを利用するだけで「このままカードローンの申し込みができます」と表示されるところもあります。きわめて簡単に利用できるのです。

そのようにむやみに貸し出して、貸し倒れなどのリスクはないのかと思うかもしれません。多くの銀行は審査や回収に保証会社を利用しています。万一、貸し倒れとなっても、それを負うのは保証会社です。銀行のリスクは小さいのです。

カードローンやアパートローンに頼らない経営は可能か

「サラ金」などと呼ばれた消費者ローンについては、借金を返すために借金を重ねる多重債務が社会問題となりました。

金融庁は2010年6月、貸金業法を改正し、上限金利の引き下げや貸付総額を年収の3分の1までにする総量規制を導入しました。実は、銀行や信用金庫、信用組合などは、貸金業法の対象ではありません。このため、総量規制も受けません。収入証明書の提出なども不要です。

銀行による過剰融資が多重債務問題につながりかねないと懸念する声が増えていることを受けて、全国銀行協会ではローン審査の厳格化などに向けた対応を行うと発表しました。

しかし、実際には依然として返済能力を上回る融資が行われているという声が少なくありません。日弁連では同連合会に相談のあった銀行カードローンの債務者のうち、年収の3分の1を超える額を借り入れている人が全体の52%にのぼるとしています。

経営環境が厳しい地銀などの中には、カードローンビジネスがもはや「やめるにやめられない」状態になっているところもあります。加えて、地銀の中には、アパートローンなどの不動産融資に偏っている銀行が多いのも特徴です。スルガ銀行の問題は氷山の一角とも言われます。

「ではどうするか」と言えばなかなか難しいところです。金融庁は複数の銀行が統合すれば健全性を維持できるとしていますが、経営が厳しい銀行同士が合併したところで、すぐさま問題が解決するとも思えません。

目先の安易な利益やリストラによる対症療法的なコスト削減を追うのではなく、将来を見据えた取り組みが求められるでしょう。

上山 光一

ニュースレター

金融・ビジネス分野のテーマを得意とする。ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)保有。