4. 年金受給者世帯の1ヵ月の生活費はいくらか
最後に、年金受給者世帯の1ヵ月の生活費について説明します。
2024年2月6日に公表された統計省統計局「家計調査報告(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、世帯主が65歳以上の無職世帯の家計収支の月平均は以下のとおりです。
※実収入のうち「その他」は世帯主の配偶者の収入、事業・内職収入、仕送り金などが含まれます。
※「非消費支出」の内訳は、直接税および社会保険料です。
- 実収入:24万4580円
- 消費支出:25万959円
- 非消費支出:3万1538円
実収入が24万4580円であるのに対して、消費支出が25万959円、非消費支出が3万1538円となり、1ヶ月あたり3万7916円が不足しています。
このデータをもとに、65歳から90歳まで生きると仮定した場合、不足額は以下のとおりになります。
- 3万7916円✕12ヶ月✕25年=1137万4800円
25年間で1137万4800円になりました。
5. まとめにかえて
70歳代で働く人の割合は年々増加しています。この背景には、年金の受給額だけでは生活費が不足することが多く、定年後も働き続けるケースがあると考えられます。
さらに、70歳代の貯蓄状況を見ると、一定の貯蓄を持つ世帯もあれば、貯蓄がまったくない世帯も存在しています。
安心して老後を迎えるには、年金など公的な制度だけでなく、個人の自助努力も必要になります。定年後の生活費を確保するためには、現役時代から計画的な資産運用が重要です。投資や貯蓄を行うことで、安定した老後生活を実現できるでしょう。
参考資料
- 内閣府「令和6年版高齢社会白書」
- 総務省「人口推計(2023年(令和5年)10月1日現在)」
- 総務省「統計からみた我が国の高齢者」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省「家計調査報告(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要」
森 悠里花