2018年6月22日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日より176円21銭安の22,516円83銭となりました。

貿易をめぐる米中の報復合戦を懸念し、売りが進む

先週は、米国と中国の貿易戦争が激化し、世界経済が停滞するとの懸念が再燃することになりました。トランプ米政権は15日、中国の知的財産権侵害に対する報復措置として、500億ドル分の中国製品に25%の追加関税を発動。これに対して中国も即座に、米国製品に報復関税を課すと発表しました。

これを受けて、日経平均も週初18日に一時200円超の下げ幅となりました。朝方に大阪北部で地震が発生したことから、積極的な買いも控えられました。さらに19日の取引開始前には、トランプ大統領が中国の知的財産侵害に対して、新たに2,000億ドル相当の輸入品に10%の追加関税を検討するよう米通商代表部(USTR)に指示したと発表。同日午前には中国商務省がすぐさま、この措置に対抗する姿勢を示したとも伝わりました。

19日にはフリーマーケットアプリ大手のメルカリが東証マザーズ市場に新規株式公開(IPO)したことから、東証1部銘柄にも資金が流れてくるのではと期待されましたが、米中両国の報復合戦に対する懸念のほうが大きく、日経平均も大幅に続落しました。下落幅は3月23日以来、およそ3か月ぶりの大きさでした。

ただしその後は為替が円安に進んだことやアジア株高などを好感した買い戻しも起こり、日経平均も一進一退となりました。

今後の動きはどうなるでしょうか。引き続き、米中の貿易摩擦には警戒が必要です。中国向けの輸出の多い製造業など、日本企業の業績にも影響を与えそうです。さらに懸念されるのはトランプ政権の保護主義的な通商政策が加速することです。すでに日本と欧州連合(EU)に対し、鉄鋼・アルミニウムの輸入制限措置をとっていますが、米中間選挙を前に、トランプ大統領が強硬な政策を新たに打ち出してくることも考えられます。

25日線を割り込むが、75日線でサポートされる

先週の動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。先週は週初から大きく下落して始まりました。18日にローソク足の実体が5日移動平均線を割り込み、19日にはさらに窓をあけて下落。25日移動平均線も突破しました。

20日も前場では下げ幅を拡大しますが、その後75日線付近で反発し、下ひげの長い陽線となりました。相場の反転を予想させる形です。そのとおり、翌21日は陽線となり25日線を回復。ただし、22日には再び25日線を割り込みました。

三角保ち合いをどちらに抜けるか見極めながら

今後の動きはどうなるでしょうか。現状は外的環境により神経質に上下を繰り返すような動きになっています。方向感の判断が難しいところです。

5月21日、6月12日と2度にわたり一時23,000円を回復しましたが、その後が続きません。日足のチャートは両者のダブルトップのような形になっています。ダブルトップは売りサインになります。

ただしダブルトップが完成するためには、ネックラインである5月30日の安値(21,931円)を割り込む必要がありますが、先週はその直前で反発しています。このため、高値は一定で、安値が切り上がる三角保ち合いの形になっています。方向感を判断するにはこの三角保ち合いをどちらに抜けるか見極めてからのほうがいいでしょう。

上値めどは引き続き、23,000円や、5月21日の23,050円となります。逆に下値めどとしては三角保ち合いを下抜ける22,300円付近や6月20日の安値(22,167円)あたりになるでしょう。

下原 一晃