牛丼はお好きでしょうか? 今も昔も庶民の味方。ワンコインで満腹になって、おつりまでくるコストパフォーマンス。地方へ出張に行っても全国どこでも同じ味を楽しめる最高の安定感! 大好きだからこそ牛丼チェーンごとの状況が気になります。そこで、「デフレの寵児」ともいわれた牛丼チェーンのビッグ3をさまざまな角度から比較してみたいと思います。

牛丼チェーンは全国に4000店舗以上!

2018年4月現在、牛丼チェーン店ビッグ3の吉野家、松屋、すき家のトータル店舗数は4098店舗。内訳は、すき家が1941店舗、吉野家が1200店舗、松屋が957店舗となっています。

1990年代~2000年代前半において、牛丼チェーン市場をけん引してきたのは吉野家です。吉野家の創業は何と1899年(明治32年)。その歴史を背景に、長年、牛丼界のトップランナーの座を守ってきました。

ところが2000年代に入り、様相がガラリと変わります。牛丼業界にとって最大の逆風となった2003年のBSE問題によって各チェーンが大きな打撃を受けました。

以降、すき家の大攻勢が始まります。2006年に松屋を抜き業界2位に浮上すると、2008年には吉野家を追い越し、業界最大手の座を手にしました。その状況が現在も続いているのは先に見た店舗数からも分かります。

牛丼戦争を振り返る

思い返せば、牛丼チェーン店を取り巻く環境の変化には紆余曲折の歴史がありました。先述した2003年のBSE問題が解決したところで、今度は2000年代中盤から熾烈な値下げ競争が始まります。これは「牛丼戦争」ともいわれ、社会的にも大きな注目を集めました。

そして、この競争により、2009年には牛丼一杯の価格が200円台後半という状況に。消費者にはうれしい一方で、チェーン店側としては収益性に相当厳しいものがあったのではないでしょうか。当時はリーマンショック直後で、日本全体が不況の波に飲み込まれていました。そのため牛丼は「デフレの寵児」と呼ばれたこともあります。

その後、2014年の消費税率引き上げを前にした各社の反応は様々でした。すき家が270円(税込)に値下げした一方、吉野家が300円(税込)、松屋が290円(税込)に値上げしています。

2015年からの状況を見ると、3社とも既存店の実績が大きく振れる月もありますが、各社、商品開発を優先しており、価格競争はいったん落ち着いたともいえるでしょう。

牛丼ファンは牛丼チェーンをこう見ている!

1990年代に学生だった40代~50代にとっては、牛丼といえば吉野家だったのではないでしょうか。40代には「味は吉野家」というイメージを抱いている方も少なくないかもしれません。吉野家はビッグ3の中で最も牛丼そのものにこだわりを持った事業を行ってきた反面、牛丼以外のメニュー開発が遅れ、業界の変化に後れをとった面もあるでしょう。

松屋は早くから牛丼、カレー、定食という3つの柱を確立し、社会の変化にも柔軟に対応できる業態で成長してきました。さらに3チェーンの中で唯一、みそ汁が無料でついてくるサービスも成長の一因かもしれません(店内食に限る)。

すき家の強みは何といっても商品開発力です。牛丼の上にさまざまなトッピングを行うという新しいスタイルを生み出し、現在も新商品の開発を続けています。

このように、それぞれに特徴があることが分かりますが、近年では他チェーンの長所を取り入れようとする動きも見えてきました。もしかすると、牛丼チェーン店は競争の時代から協力の時代へと変わり始めているのかもしれません。

まとめにかえて

紆余曲折を経ながらも、多忙なビジネスマンの胃袋を満たし続けてくれる牛丼チェーン店。社会の変化に合わせて、さまざまな業態やメニューを生み出しながら、今やなくてはならない存在になりました。近年では、それぞれのチェーン店が積極的に海外進出を行っています。手ごろな値段でおいしい牛丼を食べられる牛丼チェーン店が海外に受け入れられるのは、日本人としてとてもうれしいことですね。

LIMO編集部