現在、5年に1度の年金財政検証が行われています。年金の健康診断ともいわれるこの財政検証の結果を受け、年金制度の見直しが行われます。
改正案として「国民年金保険料の納付期間延長」や「主婦年金の廃止」などが注目されていますが、もし制度が改正されると保険料の負担が増え家計収支のバランスが崩れる世帯がでてくるでしょう。
現役時代の保険料納付期間などにより決定する老後の年金ですが、いまのシニア世代は月額どれくらい受給しているのでしょうか。中には月額30万円以上を受け取る人もいるようです。
今回は、厚生労働省の資料より、厚生年金・国民年金の平均月額を確認していきます。シニアの暮らしぶりを年金額からイメージしてみましょう。
1. 日本の公的年金制度「厚生年金と国民年金」は2階建て構造
最初に、公的年金制度の仕組みをおさらいしておきましょう。
日本の公的年金制度は、国民年金と厚生年金から成り、上図のように2階建ての構造になっています。
1階部分の国民年金は、日本に住む20歳から60歳未満の全ての人が原則として加入する年金です。
会社員や公務員など一定の要件を満たす人は、国民年金に上乗せする形で厚生年金に加入するため、厚生年金は年金制度の2階部分とされています。
1.1 国民年金(老齢基礎年金)
国民年金は20歳になると自動加入となります。収入の有無などに関わらず、60歳に到達するまでの40年間(480ヶ月)、国民年金保険料を納めます。
国民年金の保険料は全員一律です。年度ごとに改定され、2023年度は月額1万6520円、2024年度は月額1万6980円となっています。
40年間、全ての保険料を納付すれば老後に満額の国民年金を受給することができ、未納期間があれば満額から減額されます。
なお、国民年金の満額は2023年度は月額6万6250円、2024年度は6万8000円です。
1.2 厚生年金(老齢厚生年金)
厚生年金は国民年金に上乗せして加入するため、老後に受給する年金も「国民年金(老齢基礎年金)+厚生年金」となります。
厚生年金の保険料は、給与や賞与などの報酬に応じて決定。将来の年金額は納付した保険料と厚生年金加入期間によって計算されます。
このように国民年金と厚生年金では、保険料や年金額の決定方法が異なります。また厚生年金は、現役時代の働きぶりが年金額に反映するため、個人差が大きいことも押さえておきましょう。
では、実際に老後の年金は月額どれくらい受け取ることができるのか。現在のシニア世代の年金受給額に関する資料より確認してみましょう。