家庭で、そして外食で、カレーを食べる機会は多いと思います。国民食としての地位を確立しているカレー。その日本のカレーを支えてきたと言ってもよいハウス食品のカレールウ。今回はハウス食品の歴史と、ハウス食品を抱えるハウス食品グループの業績について見ていきましょう。

売上高3,000億円目前の食品メーカー

ハウス食品グループの2018年3月期の売上高は2919億円、営業利益は163億円、親会社株主に帰属する当期純利益(当期純利益)は94億円という実績でした。対前年度比では、売上高は+3%増、営業利益は+32%増、当期純利益は+8%増と、増収増益になっています。

同社のセグメントは5つに分かれていますが、中でも利益規模という面で注目すべきはコア事業である「香辛・調味加工食品事業」、成長事業の「海外食品事業」、そしてココイチとして知られる壱番屋を抱える「外食事業」です。

事業セグメント別に営業利益を見ると、「香辛・調味加工食品事業」が121億円、「海外食品事業」が28億円、「外食事業」は▲4億円の損失となっています。ただ、壱番屋そのものは営業利益で47億円を計上している点は付け加えておきます。

2019年3月期の会社による連結業績予想は、売上高が3013億円、営業利益が170億円、当期純利益が100億円と、増収増益の見通しとなっています。新年度の目標である売上高で3000億円超を達成できるかに注目です。

ハウス食品の海外事業とは何か

ハウス食品の海外事業の歴史は長く、1981年に米国に進出、83年には豆腐事業およびレストラン事業を開始しています。また、97年には中国に進出し、レストラン事業を展開。2005年には中国でルウカレーの販売を開始します。さらに、2011年にはタイに進出し、機能性飲料事業を行ってきました。

特に中国では「カレーライスの人民食化」を目指し、カレーのリピート率向上や重点都市における購入経験率を向上させるべく事業展開を行っています。

外部リソースを活用した事業展開とは

同社は2013年に創業100周年を迎え、持株会社体制に移行しました。その後、積極的に投資などを行い、2015年には壱番屋を連結子会社化。また、2016年にはギャバン、17年にはマロニーを連結子会社化しています。

2017年にはアジアレストラン事業を再編していますが、これは壱番屋主導で行われているなど、連結でのリソースを上手く活用した取り組みとなっています。

ハウス食品はもともと「ホームカレー」を扱っていた!?

では、ハウス食品の歴史を振り返ってみましょう。薬種化学原料店「浦上商店」を浦上靖介氏が創業したのが1913年。その後、1926年に稲田食品製造所から、商標とその営業権、小坂工場を譲り受け、「ホームカレー」でカレー業界に進出します。

つまり、同社のカレーは「ホームカレー」としてスタートしたわけです。ただし、2年後の1928年には「ホームカレー」を「ハウスカレー」と改称しています。

CMには西城秀樹さんも登場

1949年には社名を「株式会社ハウスカレー浦上商店」と改め、60年には「ハウス食品工業株式会社」となります。そしてこの年に発売されたのが「印度カレー」です。

そして、63年には「バーモントカレー」、68年には「ジャワカレー」、71年には「ククレカレー」を次々に発売。バーモントカレーのテレビCMといえば、先ごろ亡くなった西城秀樹さんが長きにわたって出演していたことをご記憶の方も多いでしょう。

同社はカレー以外に、「フルーチェ」「とんがりコーン」「オー・ザック」といったデザートやお菓子の分野でもヒットを飛ばしています。今後は国内市場が少子高齢化する中で、どのように国内の業績を維持しながら海外で飛躍できるのかに注目です。

参考:ハウス食品「会社の歩み」

LIMO編集部