3. 年金以外の収入を得よう
上記の試算では、二人とも国民年金の夫婦は老後に3600万円不足するという結果になりましたが、これは65歳以降働かずに年金生活に入った場合の試算です。
二人とも国民年金である夫婦は自営業である割合が高いでしょう。それならば、65歳以降も働いているケースは多く、年金に手を付けずに生活できれば、老後資金の不足は大きく減らすことができます。
60代はまだまだ体力気力ともに活力がある時期です。働けるうちは働き続けるのも一つの方法です。
年金以外にも収入を持つことで、貯蓄を切り崩す時期を遅らせることも可能です。これは、60代までに充分に貯蓄ができなかった場合にも有効といえるでしょう。
健康に60代を過ごせれば、さらに10年分の時間を使って貯蓄をすることができるのです。
4. まとめ
60代の平均貯蓄額は、二人以上の世帯で1745万円、単身世帯で1305万円でした。一方で貯蓄がまったくないという世帯も二人以上の世帯で20%弱、単身世帯では30%近くありました。
若いうちからコツコツと貯蓄をしている者としていない者との差が60代で顕著に表れています。
老後は年金だけで生活するには厳しい状況です。また、年齢が上がるにつれて医療費や介護費の負担が重くなることが想定できます。
よって、年金から生活費を引いた老後資金の不足分、プラス500万円~1000万円程度は準備できると安心かもしれません。
4.1 参考資料
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(令和2年)」
- 厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業年報結果の概要(令和元年度)」
- 総務省「家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表(年次 2020年)」
石倉 博子