体温計などのヘルスケア商品でなじみのある方が多いかもしれませんが、実は工場の生産ライン自動化に欠かせないセンサーなどを製造・販売するオムロン。オムロンという社名は、どことなくかわいらしい響きがありますが、その社名の由来をご存じでしょうか。今回は同社の収益構造と社名の由来について見ていきます。
売上高で目指せ1兆円!
オムロンの2018年3月期決算は、売上高が8600億円、営業利益が859億円。営業利益率は10%と、製造業では比較的収益率の高いグループに入るのではないでしょうか。
セグメント別収益を見ると、全社の営業利益859億円のうち、740億円を計上しているのがIAB(インダストリアルオートメーションビジネス)と呼ばれる制御機器事業。次いで営業利益が多いのが121億円を計上しているEMC(エレクトロニック&メカニカルコンポーネンツビジネス)と呼ばれる電子部品事業です。このように、オムロンの収益はIABと EMCが主体となっています(注)。
注:営業利益には消去調整他のマイナス192億円分が含まれています。
また同社は、2019年3月期に売上高で9000億円、営業利益で930億円を目指しています。営業利益率10%を目指しながら、売上高1兆円に手が届きそうなフェーズにあることが見えてきます。
オムロンの社名の由来とは
実はオムロン、1933年の創業時の名称は、創業者である立石一真氏の姓を冠した「立石電機製作所」でした。では、オムロンという社名の由来はどこからくるのでしょうか。同社の企業サイトには以下のように記されています。
私たちの「オムロン株式会社」は、本社のあった京都・御室(おむろ)の地にちなんで名づけられました。
また、同社ではもともとブランド名として「オムロン」が使われていました。同社のホームページには、そのローマ字表記に関する説明もあります。
ブランド名「オムロン」が最初に誕生したのは昭和21年(1946年)、創業者の立石一真が、ヘア・パーマ・アイロンを開発した時、女性用商品にふさわしい響きの柔らかいブランド名として、「オムロン・Omlon」を考案。そして1958年、制御機器事業の本格的展開と輸出の拡大にともない、世界中のどの国の言葉でもオムロンと発音される「OMRON」につづりを変更し、商標登録。
オムロンの綴りは当初「R」ではなく「L」だったというのが興味深いところです。また、その変更が制御機器事業の拡大を背景とした海外での親しみやすさを意図したものだったことが分かります。そして1959年には商標としてOMRONが制定され、全商品に使用されることになりました。
さらに、1990年に社名がオムロンに変更されるわけですが、英文社名はそれ以前の1968年に「OMRON TATEISI ELECTRONICS」とされていました。ここからは、グローバル展開を意識した名称にこだわる同社のDNAが見えてきます。今後も海外企業のM&Aなどを通じて世界での事業拡大を期待したいところです。
LIMO編集部