外出中、ちょっと我慢できなくなって、コーヒーチェーン店やコンビニなどでトイレを借りるということは多くありますよね。ただ、「商品を買う前だとトイレに入りづらい」という人も少なくないかもしれません。
ところが先日、米国スターバックスが「商品の購入有無にかかわらず、店内トイレを利用可とする」という業務方針を発表しました。この発表はどういった意図でなされたのでしょうか。ここでは、コンビニ等も含めた「お店のトイレ」を使うときのマナーとあわせて考えてみたいと思います。
スタバに「人種差別」の批判
今回のスターバックスの発表には、2018年4月、フィラデルフィアのスターバックスでトイレを使わせてほしいと頼んだものの「注文した顧客しか使えない」と拒否され、注文をしないまま店内に座っていた黒人男性2人が逮捕された、という事件が背景にあります。
この黒人男性らは、同店で知人を待っており、全員揃ってから注文をするつもりだったようですが、店側がそれを拒絶し警察に通報したため、スターバックスには「人種差別だ」という批判が殺到する事態となりました。
また、この事件を受けて、「店内にいた白人男性は注文前のトイレ利用を許可されていたにもかかわらず、自分は拒否された」という経験をした黒人男性が声を上げ、物議を醸していました。
コンビニのトイレはどうなの?
このような経緯があって、注文前にトイレを使用することを許可するほか、店内やテラスでの待ち合わせも自由とも明示されたのですが、それまでのトイレ使用に関しては、最終的な判断は店舗の責任者に任されていたとのことでした。
こうした構造は、日本のコンビニのトイレ使用に関しても同様のようです。コンビニによってトイレが使えなかったり、「ご自由にお使いください」「一声おかけください」など、主旨が異なる張り紙が貼ってあるのはそのためなのです。
本社と実際の店で方針が違う!?
ただ、コンビニ本社の方針としては、ローソンが1997年に「トイレ開放宣言」をして以来、セブンイレブンをはじめとしたその他のコンビニでもトイレが借りられるようにもなりました。
また同じくローソンは「トイレはサービスのひとつとしてご利用いただいている」という公式見解を出しているなど、基本的にはトイレのみの使用も認めているようです。
コンビニのトイレを自由に使用することに対しては、「コンビニのトイレは急な体調不良のときに使えてありがたい」「そもそも『お客様用』としてトイレがあるのだから、きれいに使っていれば問題ない」といった声があります。また、きれいなトイレを提供することでコンビニの売上が増加することもわかっています。
「対価は払うべき」という意見
しかし、トイレの維持・管理費は店が負担するものであり、それにかかる費用はコンビニの売上から充てられます。そうしたことを考えるとやはり、対価を払わずトイレだけ貸してもらう、というのは後ろめたく思えます。
今回のスターバックスの発表を受けたネット上の反応でも、こうしたコンビニのトイレ利用問題を想起した人も少なくなかったようで、
「普通ならコンビニなどでもトイレを借りたら何かしら買うだろ」
「商品を買わなくてもトイレを使える、なんてしたらタダでサービスを受けられると勘違いする人が出てくる」
など、否定的な意見が目立ちました。
借りるときに忘れちゃいけないもの
ちなみにコンビニの元店員とみられる人が「トイレを借りた客が何か買えば、店の売上は上がるけど、働いてる人間は歩合制じゃないんだから手間が増えるだけ。何も買わずに出てよい」との主旨の発言をネット上でしたところ、「そもそもその姿勢は店員としてどうなの?」という別のツッコミを受けたりもしていたようです。なかなか難しいですね。
コンビニでのトイレの利用は、今はあくまでも客側のモラルや意識の話にとどまっており、なおも議論が続くことでしょうが、いずれにせよ、借りるときに「感謝の気持ち」は忘れないでいたいものです。
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