2. これからたぬきの出産シーズンに入るため注意喚起

投稿主の@Tanuki_Mumさんは、野生動物を救護して野生復帰させる「野生動物リハビリテーター」として活動しています。

Xアカウントでは、野生動物に関する正しい知識を広めて、野生動物に与える影響や問題に対する関心を高めてもらおうと、さまざまな情報を発信。とくに一緒に暮らすたぬきにまつわる投稿を多く行っています。

そんな@Tanuki_Mumさんに今回の投稿をしたきっかけを伺うと、「『たぬきを犬や猫と間違えて保護し、飼っていたけど、噛まれたから野に放した』という話を何度か耳にしたことがあります。しかし、人の手で育てられたたぬきは警戒心が薄く、交通事故に遭う危険性も高いため、野生に戻るのは難しいものです。たぬきも人も不幸にならないためにも、今からたぬきの出産シーズンになりますので、誤って保護しないように注意喚起したいと思い投稿しました」と話してくれました。

たぬきの出産は年に1回で、3〜4月が繁殖期、5〜6月に出産します。これからたぬきの赤ちゃんに出くわす可能性が高くなる時期なので、より一層注意したいですね。

3. たぬきの飼育について詳しく話を聞いた

現在4匹のたぬきを飼育しているという@Tanuki_Mumさんに、たぬきの飼育やしつけについて詳しくお話を伺いました。

――たぬきを飼育することになった理由を教えてください

野生動物救護の資格を得て、傷ついた動物の保護活動を行っており、警察の方、動物園関係者、保護団体、一般個人などから日常的に様々な生き物についての相談が寄せられます。

現在、私共の方で飼育しているたぬきたちは、親の育児放棄により産後すぐに保護され持ち込まれたものを人工哺育で育てました。

兄弟の中でも未熟児で虚弱体質であった個体や、骨格形成不全、視力薄弱など成長過程を見守る中で、野生での生存や仲間との暮らしが難しいと判断した個体を終生飼育することにしました。

――たぬきは犬のようにしつけなどは難しいのでしょうか

たぬきはとても臆病で警戒心の強い動物ですので、大きな声を出したり、叱る、叩くなどの行為は、攻撃されたという認識を持たせてしまいやすく、さらに攻撃的になったり、信頼関係を損ねる原因となり得ます。

動物の習性を利用したトレーニングは可能ですが、犬のような服従心はなく、野生動物ですので本能的な行動を人が都合よくしつけたり抑止することは難しいです。

例えばたぬきはタメ糞をする習性がありますのでトイレは同じ場所でしてくれますが、縄張りを主張するため至る所にオシッコをかけマーキングをする行為は止めることは出来ません。よく私は足や背中の上でマーキングされてしまいますが、愛情表現だと思って受け止めるようにしています(笑)

――今回の投稿の反響についてコメントをお願いします

もともと野生動物なのだから、手に負えなくなったら山に逃がしたら良いと考える方もいるかもしれませんが、一度人に飼われた動物が野生に戻るのは簡単ではありません。

野生動物のロードキルは年々増えていて、特にたぬきは年間約34万頭もが交通事故により命を落としていると報告されています。悲しい結末にならない為にも正しい知識を広めることで、野生動物に与える影響や問題に対する関心を高めてもらえれば、と思います。