2018年4月26日に行われた、川崎重工業株式会社2018年3月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料

スピーカー:川崎重工業株式会社 代表取締役副社長 富田健司 氏

2017年度決算実績 サマリー

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富田健司 氏(以下、富田):みなさんこんにちは、富田です。

私から決算の実績と、今期見通しについてご説明いたします。

まず、3ページをお開けください。昨年度の決算実績サマリーです。

まずは、受注です。航空宇宙システムで防衛省向けが増加したこと、海外鉄道車両は北米、アジアで大口の受注がありまして、受注全体で前期比約2,600億円と大幅に増加をいたしました。

次に、売上はプラント環境の減収等がありましたが、精密機械その他の事業で増収になり、全体では増収となりました。

営業利益は、車両で受注損失引当金の経常による減益がございましたが、前年同期に船舶海洋で多額の損失処理をしておりまして、全体としては前年同期の水準が低かったということです。加えて精密機械による増収増益がありまして、トータルでは100億円の増益でございました。

経常利益につきましても、営業利益の増益の流れを受けまして65億円の好転になっております。

当期純利益は、1つはオフショア作業船の造船計画に伴う損失を特別損失として経常した一方でブラジルでの造船、合弁事業の損失にかかる繰延税金資産の計上で税金費用の負担が軽減されたことなどで、約30億円の増益となりました。

売上加重平均レート、影響外貨量は、ドルは110円62銭ということで前年同期から2円弱の円安となっております。

2017年度決算実績 セグメント別

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セグメント別の受注売上利益でございます。詳しい説明は後ほどセグメント別のページで行わせていただきます。

前期比損益増減要因分析

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営業利益の前期比の増減要因をご説明します。

営業利益は前年同期の459億円から559億円と、99億円の増益となっております。

(スライドの)左から要因が並んでおりますが、前年同期は船舶海洋のオフショア船関係の損失を営業利用として処理しましたが、今年度はそれが無いということで、135億円のプラス要因になりました。

一方で、航空宇宙の収益性低下の影響が43億円のマイナスです。これは787のプログラム組成当初から予想されていました価格改定の影響など、一時的な要因でございます。

車両事業では、北米向けの車両案件で、受注工事損失引当金を経常したことに、加えましてN700系の台車枠の交換費用を売り込んだことにより、マイナス142億円になりました。

為替につきましては、前期比で円安に触れていることからプラスの109億円、影響しております。

売上変動は精密機械、それからガスタービン機械等の増収によりプラスの111億円です。

売上構成変動は、プラント環境で低採算案件が減少しました。一方で民間航空機の機種ミックスの悪化等で、これ(プラント環境で低採算案件が減少した効果)が消されてしまい、結局プラスの21億円の増益になりました。

最後に販管費です。海外子会社の販売活動強化による販売費の増加と、外貨建ての販管費が円安で膨らんだ影響も手伝いまして、マイナスの92億円ということになりました。

全体を見渡しますと、船舶海洋の改善が車両案件の損失で相殺されました。また、好調な精密機械と為替によって増益を達成したというイメージになるかと思います。

前期比損益計算書の概要

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前期比の損益計算書の概要です。

まず、営業利益は先ほどご説明した通りです。

販管費が前年同期で46億円の増加となっております。実質的には、先ほど説明した、ブラジル向けの貸し倒れ引当金46億円が無くなった上での46億円の増加です。トータルで実質は92億円の増加ということなので、スライド5枚目に記載の階段グラフではそのような説明としております。この増加は主に販売数の強化に伴う費用が中心でございます。

営業外損益は、持分法利益が減少し、加えて民間航空エンジン契約調整負担費が25億円のマイナスです。「その他」の項目で、前年同期にありました海外子会社の固定資産売却益が無くなった等の影響で、しめて前年同期比で34億円の悪化となっております。

特別損益は、船舶海洋のオフショア事業に関連して損失128億円を今回第3四半期決算で経常しました。これによりまして合計で124億円の悪化となっております。

船舶海洋

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セグメントごとの状況をご説明いたします。

実績に加えて、新年度2018年度の見通しが(スライドに)出てまいりますが、これに関しては為替の前提は先ほど説明しましたように、ドルが107円、ユーロが130円で見ております。

まず、船舶海洋です。

17年度の実績は受注売上の前期比は記載の通りでございます。受注はオフショア作業船で約300億円の受注がありましたけども、これを取り消したことで結局、二ケタ億円の低水準になっております。それから、営業利益ですが、前期はオフショア船事業で、ブラジルのドリルシップとノルウェーのオフショアの損失処理が135億円ありました。今年度はこれが無いということを主因にして好転しております。

それから2018年度の見通しでございます。受注に関しては防衛省向けの艦船、液化ガス運搬等の増加等によって、前期に比べて、大幅に増加をする見込みでございます。売上につきましては液化ガス運搬の工事量が減少します。それによって若干の減少はありますが、営業利益に関しては低採算案件の減少によって10億円の黒字に転ずる見込みでございます。

車両

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次に、車両事業にまいります。

17年度の実績は受注売上に関しては記載の通りでございます。営業利益は階段グラフでご説明しました通り、米国のロングアイランド鉄道向け案件で受注工事損失を経常しました。それに加えて台車枠交換費用の経常もありまして、124億円の赤字となりました。

2018年度の見通しは、2017年度にニューヨーク向けの大型の地下鉄車両案件を受注したこともありまして、受注見通しは例年を若干下回る水準に戻ると見ております。売上に関しては北米向けを主因として増加いたします。しかし、営業利益に関しては過去に受注した低採算案件の売上が続くことの他に、一部案件の採算の見直し、売上期ズレ等の要因がありまして、今年度は25億円の営業利益にとどまる見込みであります。比較的リードタイムの短い小口であるとか、アフターの案件に取り組むことによって採算の改善に努めてまいります。

航空宇宙

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次に、航空宇宙でございます。

2017年度の実績は受注売上の前期比はご覧の通りでございます。営業利益ですが、階段グラフの通り、ボーイング787の価格改定の影響、777の売上の機数減の影響が大きく、前期比41億円の減益となりました。

このセグメントは、組織改正の対象になっております。従いまして、2018年度の見通しはこのセグメント新カンパニーとしての数字の開示ということになります。組織改正を実施したことにより、2018年度は従来の製品に加えまして、航空機用エンジンについても本セグメントに含まれることになります。従いまして別のページで、後ほど18年度の見通しのご説明をいたします。

ガスタービン・機械

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次に、ガスタービン機械にまいります。

受注売上の前期比は記載の通りです。営業利益は増収ではありましたが、エネルギー事業の高採算案件が減少しまして、結果的には減益となっております。

また、18年度の見通しに関しましては先ほどの航空宇宙のセグメントと同様、このセグメントに含まれていました航空機用エンジンが航空中システムセグメントに入ります。それから、それ以外の産業用ガスタービン、ガスエンジン等については、エネルギー環境プラントという新セグメントに入ります。従いまして、本セグメントとしては18年度の見通しは記載しておりません。別の新セグメントのところでご説明をいたします。

プラント・環境

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次に、プラント環境です。

2017年度の実績は、受注売上の前期比は記載の通りでございます。売上の減少要因としては化学プラント、トルクメニスタン向けのガストゥーガソリンプランが挙げられます。工事量の減少は前期がピークだったことによるもので、工事そのものは順調に推移しておりまして、とくに問題は発生しておりません。

2018年度に関しては、エネルギーと一緒になりますので、後ほどご説明いたします。

それから海外のNLGプラントの状況でございます。(2018年)1月にもご報告しました通り、工事は順調に進んでおりまして、一部の残作業を除きまして今月上旬にほぼ完了いたしました。転注費用も(2018年)1月に申し上げました通り、当初見積もりから増加しておりますが、増加分を含めた転注に伴う生じた損害については、契約違反をした元の会社に補償を求める方針も変わりはございません。

新セグメントの業績

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新セグメントの18年度の見通しをご説明いたします。

まず、航空宇宙システムは、航空宇宙とジェットエンジン、機体とジェットエンジンが一緒になったセグメントです。前期と比べましてボーイング向け民事航空機の分担製造品の採算性向上があります。それから、航空エンジンのアフターパーツの増収効果も見込まれますが、一方で新エンジンの開発費償却の負担が重いということ、それに先ほどの為替前提、円高というのも加わりまして、売上が増大する一方で営業利益は減益となる見込みでございます。

もう一つの新セグメント、エネルギー環境プラントは、受注売上ともにエネルギー関連事業で増加が見込まれておりまして、営業利益についても増収に伴いまして増益となるという見通しでございます。

モーターサイクル&エンジン

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次に、従来セグメントに戻りますが、モーターサイクルエンジンのご説明をします。

17年度の実績は、受注売上の前期比は記載の通りでございます。営業利益に関しては増収、円安、これで前期比35億円プラスの152億円となりました。

18年度の見通しでは、売上利益とも円高の影響がありますが、先進国向けの二輪車、汎用エンジンが事業を牽引し前年並みで推移をするという見込みでございます。

精密機械

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精密機械ロボットセグメントでございます。

17年度の実績は受注売上は記載の通りです。それから営業利益につきましても増収によりまして、前期比85億円増益の216億円となりました。

18年度の見通しです。前期に続きまして中国向けを中心とした建設機械市場向けの油圧機器、各種産業用ロボットの需要は依然として高く、さらなる増収増益を見込んでおります。

貸借対照表の概要

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貸借対照表の概要をご説明いたします。

当年度は受注売上とも前期を上回る水準となりましたので、前期末に比べて売掛金、棚卸資産が増加をいたしました。また、777X用の新工場、新型エンジンの開発投資等によりまして、固定資産の増加もみられたということで前期比で総資産が976億円増加をいたしました。総資産増加に伴いまして借入債務も前期比で10パーセント程度増加をしまして、4,466億円となりましてネットDEレシオは80.6パーセントとなりました。

キャッシュ・フローについては次のページで、また詳しくご説明をいたします。

キャッシュ・フローの概要

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キャッシュ・フローでございます。

営業キャッシュ・フローは売掛金の増加、主にプラント事業での海外案件での悪化に伴う運転資本の増加がありまして、前期比で374億円悪化をしております。

また、当期キャッシュ・フローは航空宇宙において大口の設備資金の支払いが集中をしたということがありまして、前期比157億円の悪化しました。この結果、フリー・キャッシュ・フローがマイナスの245億円ということで、今回マイナスに転じ、前期比531億円の悪化となりました。

連結受注高・売上高・利益見通し

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18年度の見通しを総括をいたします。

18年度の見通しに関しましては、売上高は2017年度に引き続きまして過去最高を更新をする見込みでございます。営業利益については前期には鉄道車両で受注工事損失を経常しましたが、今期は改善します。売上増に伴う増益が見込まれるということから750億円、税前ROICは8.0パーセントを見込んでおります。配当については1株当たり70円としており、2016年から2018年の3期平均で見ますと、配当性向は31.1パーセントということになります。為替は107円ドルと130円ユーロということでございます。

セグメント別通期業績見通し

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セグメントごとに、ご参考までに実績と見通しを一覧表で提示しております。

セグメント別税前ROIC等の推移

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ROIC等の推移を並べております。

研究開発費・設備投資・期末従業員数

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研究開発、設備、期末人員でございます。

私からの説明は以上でございます。ありがとうございました。

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