売買価格については、従来は経験値をもとに不動産会社のスタッフの話やweb上の物件売り出し情報、不動産業者のみが閲覧できる「REINS(レインズ)」というシステム上の「売り出し事例」や「成約事例」などを参考に様々な検討を行います。

ただ、情報が完全に公開がされていない状況の中で、利害関係人(売りたいと思っている不動産業者等)の意図や、個別物件の違いによる曖昧さがあるので、もはや収集がつかなくなる状況が発生します。これが不動産取引を業者(玄人)有利としている所以の一つです。

投資としてマンション流通を考える上では客観的な基準が必要不可欠ですので、そのポイントをクリアする必要があります。

そこで登場するのが人工知能(AI)による価格査定です。具体的には、過去から今そこにある売買データまでをもとに分析を行うことで、購入したい物件が割高なのか、割安なのかを把握することができるため、合理的な検討が可能となります。

たとえば、マンション売買サービス「カウル」は、その機能の一つである「カウル鑑定」で、物件価格査定のみならず、2.でご説明した「買ったほうが得か」、「借りた方が得か」を明確に示してくれます。このように、CoAMで重要な位置を占める客観的な流通価格の分析は、ビックデータの分析を経て可能となるのです。

5.保有・管理・維持コストについての分析

保有・管理コストについては、現在の管理コスト・今後の修繕コストを考える必要があります。管理費等の費用とスペックは適当なのか、今まで必要な修繕を実施しているのか、今後はどれだけの工事とその費用を見込んでいるのか、また管理組合の運営面でも、運営がきちんと行われているのか、傾向はどうなっているのか等の情報も影響が大きい事項です。

これについては、マンション共用部分の長期修繕計画・修繕履歴、専有部分の修繕履歴、管理費・修繕積立金会計の収支状況、そして総会・理事会の議事録等を見て、管理コストが妥当なのか、今後の修繕に関する費用がどれだけ必要なのか、管理組合運営がどのようになされているのか等を分析し、マンションの精査を行う必要があります。

そして、注意しなければならないのが、管理組合は「ただ部屋を保有している所有者」の集合体であり、その運営にも大きな課題があるという点です。適正な運営の分析については割愛しますが、マンション管理士等のプロの目を通すとその精度は著しく上がります。

6.マンション購入判断の新基軸・CoAMで合理的なマンション投資を

以上のように、(1)購入時(相場よりも高く買ってしまわないか)、(2)保有時(ランニングコストは高くないか)、(3)売却時(相場よりも安く売ってしまわないか)の3つの局面で物件の分析をすれば、より確実にマンションにまつわるデータ分析が可能です。

社会情勢等を見ながら、現在の物件の上昇が続くのか、それとも物件価格は下がるのか、様々なデータからの分析は有用です。しかし、全ての不確定要素を把握するのは難しく、状況に合わせて対応できるような準備に向けた分析を(1)〜(3)の局面で常に行う必要があります。そして、CoAMを活用した分析を通して継続的な検討に取り組めば、マンション購入をいわゆる「ギャンブル」にしないことが可能になると言えます。

皆様もCoAMを活用して、合理的なマンション投資を行なってはいかがでしょうか?

マンションジャーナル