2024年1月19日、厚生労働省は2024年度の公的年金が2.7%増額改定されることを発表しましました。
国民年金(老齢基礎年金)の満額は月額6万8000円、一例ですが、厚生年金を受給する標準的な夫婦世帯は2人分で月額23万483円となります。
現行の年金制度では、老齢年金の受給開始年齢は原則65歳からとなりますが、経済的状況やライフスタイルに合わせて60歳~75歳までの間で受給開始をズラすことが可能です。
では、受給開始年齢を「繰上げ」・「繰下げ」している人はどのくらいいるのでしょうか。
本記事では、繰上げ受給・繰下げ受給の利用率及び、それぞれの概要について詳しく紹介していきます。
記事の最後では、受給開始年齢「繰上げ・65歳・繰下げ」ごとの年金受取総額シミュレーション結果を掲載していますので、あわせて参考にしてください。
1. 【老齢年金】繰上げ受給・繰下げ受給とは?
最初に、老齢年金の受給開始年齢を早める「繰上げ受給」と、遅らせる「繰下げ受給」について解説していきます。
1.1 繰上げ受給
繰上げ受給とは、年金受給開始を早めることができる制度です。
最大60歳まで受給開始を早めることができます。
60歳で定年退職を迎え、退職後の再雇用を希望しない場合は、退職から年金受給開始年齢である65歳まで無収入となり得ます。
そのようなリスクを考慮し、老後生活を早めにスタートできるよう繰上げ受給が採用されているのです。
ただし、繰上げ受給は受給開始をひと月早めるごとに、65歳から受給できる年金額から0.4%ずつ減額される点にご留意ください。
たとえば、65歳から受給する場合の年金額が15万の場合、60歳まで繰上げることにより11万4000円にまで減額されます。
なお、繰上げ受給により減額された年金額は、65歳に到達してもリセットされません。
一生涯、減額された年金額を受給することになるため、寿命によっては受取総額で損をする可能性もあります。
繰上げ受給の選択は、十分に検討したうえで決定しましょう。
1.2 繰下げ受給
繰下げ受給とは、年金受給開始を遅らせることができる制度です。
受給開始年齢を、66歳以後75歳までの間に遅らせることで、受け取れる年金額を増額できます。
繰下げ受給を選択した場合、受給開始をひと月遅らせるごとに0.7%増額されます。
75歳まで繰下げた場合の増額率は84%です。
また、繰上げ受給と同様、増額率は一生涯変わりません。
たとえば、年金の受給額が15万円だった場合に、75歳から繰下げて受給をすると、受給額は「27万6000円」にまで増額されます。
近年は、高齢者が働く環境が整備されつつあるため、リタイア後も働けるだけ働きたいというシニアが増えています。
労働収入がある間は、年金受給開始を遅らせて年金額を増やすことも可能です。
ただし、こちらも寿命によっては受取総額で損をするケースもありますので、慎重に検討しましょう。
では、繰上げ受給・繰下げ受給を選択した人はどれくらいいるのでしょうか。
次章にて、詳しく紹介していきます。