入園の季節を迎え、「毎朝登園時に我が子に泣かれる」と悩むママもいるでしょう。筆者の次男も、今春幼稚園に入園しました。家では制服に着替える段階から不安な表情で、玄関を出る頃にはしくしく泣き出します。園に着いたらギャン泣きの次男を抱っこで教室まで連れて行き、筆者は笑顔でバイバイをします。
子どもが早く園に慣れるためにも、ママは笑顔で明るく送り出すことが勧められていますよね。でも実際は、泣きたい気持ちはママも同じ。心の中では悲しかったり、感慨深い思いがあったり、心配だったりするものでしょう。
こういった感情は感じていけないわけではなく、ママだって泣いていいと思うのです。今回は子どもの登園渋りに対する、ママの感情との向き合い方をご紹介します。
涙が出ても、笑顔でバイバイを
次男は初めての登園日、教室に入って別れる段階で泣き出しました。その表情が何とも言えない表情で、「ママと離れるのは寂しいけれど自分は我慢しなければいけない」という、寂しい気持ちと我慢する気持ちが入り混じった表情でした。小さいながらに我慢しようとする表情に涙が出てしまいましたが、笑顔でバイバイをして別れました。
4歳上の長男のときも、やはり最初の別れのときは涙が出ました。当時は「子どものために泣いてはいけない」と思い込んでいたので、涙を流してしまう自分を「弱くてダメなママだ」と責めることもありました。
でも今は、ママも素直に泣いていい、と思っています。たとえばママが手をつけられなくなるほどおいおい泣いてしまうと、子どもも余計不安になって大泣きし、離れらなくなるでしょう。それほどではなく、涙が出ても笑顔でバイバイされれば、子どもはそこまで不安に思いません。要は「程度の問題」なのです。
感情と理性を同時に使おう
人間ですから、喜怒哀楽の感情表現をママがするのは当たり前のこと。ママの感情表現は、子どもにとって「学びの機会」にもなるのです。上記と似た例で、たとえば「親は感情的に怒ってはいけない」と言われますよね。ただ、毎日怒って当たり散らすのでは子どもの心にダメージを与えますが、たまにならそこまでダメージを与えないでしょう。
社会に出れば、感情的に怒られることもありますし、理不尽な思いをすることも沢山あります。家庭で少し経験をしておくと驚きも少なく、対応方法や受け流し方もわかることでしょう。子どもはコミュニケーション方法を、家庭で学んでから社会で生かしていきます。親がそこまで聖人君子のようでなくても大丈夫なのです。
子どもの前で、親は「自分の感情」と「親としてすべき振る舞い(理性)」の間でいつも揺れ動いているでしょう。感情だけでは子どもの心にダメージを与えますし、理性だけでも子どもの心に響きにくいもの。両方を同時に使うと子どもも理解しやすく、親としても子育てに対する肩の力が抜けるものです。
子どもの成長を思い返してみる
長男のときは子どもが幼稚園に行ってからも気持ちが沈みましたが、その感情を誤魔化そうと仕事に打ち込んだり読書をし、考えないようにしていました。今考えると感情に蓋をせず、じっくり向き合えば、むしろ良い機会になったと思います。
こういった機会がなければ、なかなか子どもとのそれまでの時間を振り返る機会が持てません。幼稚園は3年間ありますが、3年もあっという間のこと。次に気付いたときには入学というくらい、育児中は忙しいものです。入園のこの時期こそ、ゆっくり子どもの赤ちゃんの頃の写真を見てみたり、思い返してみるのも良いでしょう。
入園すれば制作物などをたくさん持ち帰りますから、今のうちに子どもの成長記録をまとめておくこともオススメです。
心の充電を100%に
さて、親がいくら心配したところで、園に行っている間は子ども自身に頑張ってもらうしかありませんよね。親ができることといえば、子どもが幼稚園に行っている間頑張れるよう、心の充電を100%にしておくことです。
長男は小学校に入学してから登校渋りも続いたのですが、スクールカウンセラーに相談したところ、「抱っこしたり、頭を撫でたり、背中をさすったり、スキンシップをたくさんしてください。そうすると学校へ行く勇気が出ますよ」と言われました。これは長男にも次男にも効き、登園・登校前に抱きしめると泣きながらも行く勇気が出るのです。
イメージとしては「家で充電を100%にし、園で充電を使い切り、また家で充電をする」という流れ。子どもが帰ってきたら家ではリラックスさせてあげたり、スキンシップをとりましょう。
最後にご紹介したいのが、子ども3人を育てあげた先輩ママが言っていた「ママも子どもも頑張らなくていいんだよ。いっぱい泣いていいんだよ」という言葉です。
泣いたり、弱音を吐いたりしてマイナス感情を吐き出しきれば、次第に気持ちは前へ向いていくものです。しばらく時間はかかりますが、親子共に頑張ろうとせず、感情と向き合いながら今しかない登園渋りの時期を過ごしていきましょう。
宮野 茉莉子