2018年4月13日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日より118円46銭高の21,778円74銭となりました。ザラバでは一時、21,917円と、22,000円台に迫りました。

米中貿易摩擦のリスクは後退する一方、中東の地政学リスクが高まる

前週までは米中間の貿易摩擦懸念が高まっていました。

しかし、中国の習近平・国家主席が10日、海南省ボーアオ(博鰲)で行われていた「博鰲アジアフォーラム」の演説で、外資の出資制限の緩和などをはじめとする市場開放を重視する姿勢を強調したことから、米中貿易摩擦のリスクが後退したと好感されました。

さらに、12日にはトランプ米大統領が環太平洋経済連携協定(TPP)の復帰条件の検討を米通商代表部(USTR)に指示したと伝えられたことも好感され、米国、欧州、日本市場ともに関連株を中心に買いが進みました。

来週以降の動きはどうなるでしょうか。リスクが高まったり後退したりと、引き続き外的要因の変化により乱高下する展開が続きそうです。米中の貿易摩擦リスクが後退したと安心感が広がる一方で、シリア情勢を巡る新たなリスクも懸念されます。

東京市場の大引けまでは、トランプ米政権は、シリアに対する軍事行動の判断を先送りすると伝えられていました。このため投資家の間には、中東の地政学リスクが後退したとの見方が広がっていました。

ところが、13日夜(日本時間14日午前)にトランプ大統領は、米国がフランス、英国とともにシリアのアサド政権に対して攻撃を行ったと発表しました。

米国株式市場、ニューヨーク外国為替市場、いずれもクローズしてからの攻撃のため、価格には織り込まれていません。このため、週明けから大きく相場が動く可能性があります。

特に円相場は円安・ドル高傾向が続いていましたが、リスクが高まると安全資産とされる円が買われドルが売られることになり、円高になりそうです。急な値動きにも対応できるよう、備えておきたいとところです。

25日移動平均線も回復、5日移動平均線に沿って上昇

今週の動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。先週、25日移動平均線を回復したことから、これを維持できるかどうかがポイントでした。実際には、ローソク足の実体が短く、小幅にもみ合う展開となりました。

ただし、安値は5日線付近でサポートされており、堅調さを感じさせました。5日移動平均線が25日移動平均線を下から上に抜けるゴールデンクロスを形成した後に、その価格差が扇のように広がっています。これは、チャートの形では上昇傾向を示しています。

さらなる反発を模索、22,000円台回復への期待も

来週の動きはどうなるでしょうか。昨今の値動きにより、1月下旬から続いていた下降トレンドラインのチャネルの上限を突破し、下降トレンドが終わりました。5日線、25日線が上昇しており、75日線に近づいています。ゴールデンクロスが発生すれば、22,000円台の定着やさらなる上昇も期待できます。

上値めどとしては、直近の戻り高値である3月12日の21,971円、意識されやすい22,000円、2月27日の高値(22,502円)あたりになります。一方で、地政学リスクも高まっていることから、ここから上がりきれないことも考えられます。その場合の下値めどは、25日線(22,480円付近)、200日移動平均線(21,400円付近)や、2月中旬以降、4度にわたり下値をサポートされている21,000円付近になります。

さらに、3月26日の安値(20,347円)までは距離がある物ものの、ここを割り込むと、せっかく終了した1月23日以来の下降トレンドが復活してしまうことになるので注意が必要です。

下原 一晃