2. 【国家公務員】勤続年数別で退職金を比較
国家公務員が定年退職時に受け取る退職金は、勤続年数により金額が変わります。
内閣官房内閣人事局「退職手当の支給状況」によると、国家公務員の退職金平均支給額(定年退職)は勤続年数ごとに下記のように推移しています。
【常勤職員】
- 5年未満:158万7000円
- 5年~9年:446万8000円
- 10年~14年:713万7000円
- 15年~19年:1159万1000円
- 20年~24年:1309万2000円
- 25年~29年:1663万2000円
- 30年~34年:1991万7000円
- 35年~39年:2303万8000円
- 40年以上:2234万7000円
【うち行政職俸給表(一)適用者】
- 5年未満: 84万8000円
- 5年~9年:451万8000円
- 10年~14年:675万7000円
- 15年~19年:1016万6000円
- 20年~24年:1352万4000円
- 25年~29年:1625万6000円
- 30年~34年: 2037万円
- 35年~39年:2189万1000円
- 40年以上:2139万1000円
上記から、勤続年数が長くなればなるほど退職金は増加していきます。
平均から、勤続年数が15年以上であれば退職金1000万円以上を受け取れる見込みとなっています。
ただし、同じ勤続年数でも自己都合による退職や応募認定での退職であれば、金額が変わることもあります。
では、一般企業の会社員は公務員と比較して退職金が少ないのでしょうか?次章で確認していきます。
3. 一般企業と公務員、退職金に差はあるの?
前章では、公務員の定年退職金の相場について紹介しましたが、大企業や中小企業に勤める会社員の定年退職金はどのくらいなのでしょうか。
最新の統計である中央労働委員会「令和3年賃金事情等総合調査(確報)」によると、資本金5億以上かつ労働人材が1000人以上の企業、いわゆる「大企業」のモデル定年退職金は、大学卒・高校卒それぞれ下記の結果となりました。
- 大学卒:2563万9000円
- 高校卒:1971万2000円
※学校を卒業後ただちに入社して標準的に昇進した者のうち、事務・技術(総合職相当)
一方、東京都産業労働局の調査データでは、企業規模が300人未満の企業の定年退職金については下記の結果となりました。
【大学卒】
- 企業規模10~49人の退職金:979万3000円
- 企業規模50~99人の退職金:1141万8000円
- 企業規模100~299人の退職金:1323万円
【高校卒】
- 企業規模10~49人の退職金:880万3000円
- 企業規模50~99人の退職金:1065万9000円
- 企業規模100~299人の退職金:1204万5000円
※卒業後すぐ入社し、普通の能力と成績で勤務した場合の退職金水準
公務員のように退職金2000万円を受け取る可能性があるのは「大企業の大卒者のみ」という結果に。
また、中小企業では「そもそも退職金制度がない」という会社も一定数存在します。
このことから、一般企業で働く人たちは公務員に比べて受け取る退職金が少ない傾向にあります。
ただし、物価上昇や少子高齢化が進む日本では、公務員であっても必ず「2000万円」が受け取れるとは限りません。
仮に2000万円が支払われたとしても、日本円の価値そのものが下がっていることも考えられます。
将来のインフレリスクなどを考慮したうえで、退職金頼りにならない資産形成を進めておく必要がありそうです。
4. まとめにかえて
今回は公務員の退職金事情を中心に、一般企業に勤める会社員の退職金事情についても詳しく見てきました。
勤続年数の長い国家公務員であれば、退職金2000万円以上を受け取れる見込みです。
一方、一般企業では「大企業勤めの大卒者のみ」が退職金2000万円に手が届くという結果になりました。
しかし、企業規模に限らず公務員でも5人に1人が生活苦に陥っているというデータもあります。
老後は退職金だけに頼ることなく、ゆとりある生活のために今のうちから貯蓄で備えておくことが大切です。
参考資料
- 人事院「国家公務員の数と種類」
- 内閣官房内閣人事局「退職手当の支給状況」
- 東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」
- 厚生労働省 中央労働委員会「令和3年賃金事情等総合調査」
- 厚生労働省「退職給付(一時金・年金)の支給実態 」
- 人事院事務総局「令和5年 退職公務員生活状況調査報告書」
中本 智恵