ひと昔前は「年功序列」「定年退職」「退職金」などが当たり前の時代でしたが、現在は年齢が上がると年収が落ちたり、退職金制度ではなく確定拠出年金制度に変えている企業も多くあります。
そんな中、安定しているという印象が強いのが「公務員」ではないでしょうか。内閣官房内閣人事局の資料によると、定年まで勤め上げると退職金も平均2000万円を超えるようです。
では、転職して公務員になった場合、勤続年数ごとに退職金はいくらになるのでしょうか。資料から見ていきます。
一方で、2024年3月に公表された「令和5年 退職公務員生活状況調査報告書」からは、国家公務員の意外な生活苦も読み取れました。記事後半で見ていきましょう。
1. 「国家公務員」と「地方公務員」の違いとは?
公務員とは、国や自治体に勤務し、営利を目的とせず社会作りを仕事としている人を指します。私たちが身近に感じるのは「地方公務員」かもしれませんね。
国家公務員は国全体に関わる業務を行うのに対し、地方公務員は自治体の住民サービスなどの業務を行っています。
「国家公務員」と「地方公務員」の主な職種は下記のとおりです。
- 国家公務員:自衛官、裁判官、検察官、国会議員、大使
- 地方公務員:教員、役場職員、警察官、消防官、自治体議員
地方公務員の場合は、勤務する都道府県や市町村によって給与水準や退職金が異なるため、今回は国家公務員の退職金について紹介していきます。
2. 【国家公務員】定年退職金の平均支給額は2000万円超え
国家公務員が定年退職時に受け取る退職金は、平均で2000万円を超えます。
内閣官房内閣人事局「退職手当の支給状況」から詳しく見ていきましょう。
2.1 常勤職員の退職金額
- 受給者数:1万4283人
- 平均支給額:2112万2000円
2.2 行政職俸給表(一)適用者の退職金額
- 受給者数:4086人
- 平均支給額:2111万4000円
「定年」を事由とする退職では2000万円を超えますが、当然ながら勤続年数によっても異なります。
同資料によると、国家公務員の退職金平均支給額(定年退職)は勤続年数で下記のように推移しています。
2.3 常勤職員の退職金額(勤続年数ごと)
- 5年未満:158万7000円
- 5年~9年:446万8000円
- 10年~14年:713万7000円
- 15年~19年:1159万1000円
- 20年~24年:1309万2000円
- 25年~29年:1663万2000円
- 30年~34年:1991万7000円
- 35年~39年:2303万8000円
- 40年以上:2234万7000円
2.4 うち行政職俸給表(一)適用者の退職金額(勤続年数ごと)
- 5年未満: 84万8000円
- 5年~9年:451万8000円
- 10年~14年:675万7000円
- 15年~19年:1016万6000円
- 20年~24年:1352万4000円
- 25年~29年:1625万6000円
- 30年~34年: 2037万円
- 35年~39年:2189万1000円
- 40年以上:2139万1000円
仮に転職して国家公務員の常勤職員になった場合、退職金の平均が2000万円を超えるのは35年~39年。1000万円を超えるのは15年~19年が目安になるでしょう。
ただし、退職金事情だけで公務員の生活の安定さをはかることはできません。
次章では最新資料による、国家公務員の生活苦について見ていきましょう