2. 「利回り別」月3000円で積立投資シミュレーション

積立投資は、積み立てる商品によってリスクと期待リターンが異なります。

一般的に、リスクが高いとされる「株式」を中心に組み入れた商品ほど期待リターンも大きくなる一方で、リスクが低いとされる「債券」の組入比率が多い商品ほど期待リターンは小さくなります。

今回は、リスク許容度に応じた想定利回りを「3・5・7・10%」に設定し、シミュレーションを行いました。

※本シミュレーションは実際の運用結果を保証するものではありません
※出所:金融庁「資産運用シミュレーション」

2.1 想定利回り3.0%×30年間

<資産額推移>

  • 5年:19万4000円
  • 10年:41万9000円
  • 15年:68万1000円
  • 20年:98万5000円
  • 25年:133万8000円
  • 30年:174万8000円

 

30年間の積み立てで、投資元本は108万円となります。

想定利回りが3.0%の場合、30年後の運用収益は約66万8000円となり、元利合計で約174万8000円となりました。

「そもそも利回り3.0%以上で運用することは可能なの?」と思う方もいらっしゃると思います。

参考までに、年金積立金の運用を行うGPIFの運用実績をみてみましょう。

GPIFの2001年度~2023年度第3四半期における運用実績は「+3.99%」となっています。GPIFの基本ポートフォリオには、4資産(外国株式・国内株式・外国債券・国内債券)を25%ずつ組み入れられているので(調整あり)、比較的堅実な運用スタイルといえます。

運用資産額・構成割合

運用資産額・構成割合

出所:GPIF「2023年度の運用状況」

あくまでも過去のデータによるものですが、30年間の長期投資なら、利回り3.0%以上は十分に達成可能な水準といえるでしょう。

2.2 想定利回り5.0%×30年間

<資産額推移>

  • 5年:20万4000円
  • 10年:46万6000円
  • 15年:80万2000円
  • 20年:123万3000円
  • 25年:178万7000円
  • 30年:249万7000円


想定利回りが5.0%の場合、30年後の運用収益は約141万7000円となり、元利合計で約249万7000円となりました。

2.3 想定利回り7.0%×30年間

<資産額推移>

  • 5年:21万5000円
  • 10年:51万9000円
  • 15年:95万1000円
  • 20年:156万3000円
  • 25年:243万円
  • 30年:366万円


想定利回りが7.0%の場合、30年後の運用収益は約258万円となり、元利合計で約366万円となりました。

2.4 想定利回り10.0%×30年間

<資産額推移>

  • 5年:23万2000円
  • 10年:61万5000円
  • 15年:124万3000円
  • 20年:227万8000円
  • 25年:398万1000円
  • 30年:678万1000円


想定利回りが10.0%の場合、30年後の運用収益は約570万1000円となり、元利合計で約678万1000円となりました。

「さすがに年利10.0%以上の運用は難しいのでは?」と思うでしょう。ところが、昨今の株高の影響もあり、実際に10.0%を超える利回りとなっているインデックスもあるため、決して不可能な水準とはいえません。

ただし、あくまでも過去のデータによるものであり、実際の運用結果は相場状況に左右される点には注意しましょう。

3. 積立期間を確保できるなら少額でも効果あり

シミュレーション結果からわかるように、積立期間が長いほど投資元本に対する運用益の割合が大きくなります。そのため、30年程度の投資期間を確保できるなら、月3000円といった少額投資でも一定の効果はあります。

しかし、実際の運用結果は利回りによって大きく異なるので、月3000円でも年利3.0%と10.0%とでは大きな差が生まれます。

大きなリターンを望むなら、相応のリスクがある商品を積み立てる必要があるでしょう。

まずは、自身のリスク許容度と目標金額を明確にし、場合によっては積立額を増やすことも視野に入れてみてはいかがでしょうか。

ただし、途中で積み立てるのが辛くならないよう、毎月の積立額は無理のない範囲で設定することが大切です。

参考資料

加藤 聖人