2024年3月27日、厚生労働省は「令和5年賃金構造基本統計調査」の結果を公表しました。
こちらによると、一般労働者の賃金は月額で31万8300円。男女別に見ると、男性は35万900円、女性は26万2600円とのことです。
全体では前年比2.1%増となっており、今後も賃金上昇に強い期待が持たれます。
一方、短時間労働者の賃金は時給1412円(男性1657円、女性1312円)でした。
今の生活に密接に関わる賃金ですが、これは将来の年金額にも響きます。
では、将来の年金の違いはいくらになるのでしょうか。厚労省の資料を参考に、年金額の違いを試算してみたいと思います。
1. 月給31万8300円の人が受け取れる厚生年金はいくら?
年金額をシミュレーションをするにあたり、ある程度条件を設定する必要があります。
まず一般労働者の賃金は月額で31万8300円ですので、賞与が年間約2ヶ月分とし、年収を445万円としておきます。
その他の試算条件は以下のとおりです。
1.1 厚生年金の受給額の計算式
報酬比例部分=A+B
- A(2003年3月以前):平均標準報酬月額×7.125/1000×2003年3月までの加入期間の月数
- B(2003年4月以降):平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の加入期間の月数
報酬比例部分(従前額)=(A+B)×1.014
- A(2003年3月以前):平均標準報酬月額×7.5/1000×2003年3月までの加入期間の月数
- B(2003年4月以降):平均標準報酬額×5.769/1000×2003年4月以降の加入期間の月数
どちらかの式によって算出されます。また加入の時期によって計算式が異なるため、ここでは2003年4月以降に加入したとして試算します。
1.2 年金の試算条件
- 年収445万円から平均標準報酬額は37万800円とする
- 2003年4月以降に厚生年金に38年間加入した
- 国民年金は40年間未納なし
- 配偶者や扶養家族はいない
1.3 厚生年金額をシミュレーション
老齢厚生年金額=98万9200円
さらに老齢基礎年金(国民年金)の満額約81万6000円を足すと、合計で約180万5200円となります。
月額にすると約15万400円です。
実際には38年間を通して年収445万円であるケースはまれですが、一つの目安となるでしょう。
2. 時給1412円の人が受け取れる厚生年金はいくら?
同資料の短時間労働者の賃金は時給1412円であったことから、続いてこちらの年金額を試算していきます。
仮に8時間勤務で毎月21日働いたとします。この場合、年収で約285万円となります。
厚生年金の受給額の計算式は先述のとおりです。
2.1 年金の試算条件
- 年収285万円から平均標準報酬額は23万7500円
- 2003年4月以降に厚生年金に38年間加入した
- 国民年金は40年間未納なし
- 配偶者や扶養家族はいない
2.2 厚生年金額をシミュレーション
老齢厚生年金額=63万3500円
さらに老齢基礎年金(国民年金)の満額約81万6000円を足すと、合計で約144万9500円 となります。
月額にすると約12万800円です。
こちらも、実際には38年間を通して年収285万円であるケースはまれですが、一つの目安となるでしょう。
※昭和21年4月1日以前に生まれた方については、給付乗率が異なります。
※年収÷12で仮の平均標準報酬月額を算出しています。実際には「平均標準報酬月額」「平均標準報酬額」を用いるため、厳密には年収と異なります。
※あくまでも概算のため、実際の受給額とは異なるケースがあります。
※老齢基礎年金は2024年度新規裁定者の基準額です。
では、厚生年金を月額15万円以上受給している割合はどれくらいなのでしょうか。次章で見ていきましょう。