老後の収入源となる公的年金。自分たちは実際受け取れないのでは?と不安に思われる方も多いでしょう。
また現役シニア世代の方の中にも、実際入金される金額が少ないというお声もよく耳にします。
お給料と同じく年金も税金や社会保険料が「天引き」された状態で私たちのもとに振り込まれるのをご存知でしょうか。
今回は老齢年金にまつわる「盲点」について見ていきたいと思います。記事の最後には、国民年金・厚生年金の平均受給額も掲載していますので老後対策の参考としてご確認ください。
1. 老齢年金に関する3つの盲点
老後の大切な収入源となる公的年金について理解しておきたいことは多岐にわたります。
本記事では、年金受給開始前におさえておきたい「盲点」とされる仕組みを3つに絞ってご紹介していきます。
1.1 【盲点】老齢年金からも「税金・社会保険料」が天引きされる
冒頭でも触れたとおり、老後に受給する公的年金からも税金や社会保険料が天引きされます。
天引きされるお金は、次の4種類です。
- 個人住民税
- 所得税および復興特別所得税
- 介護保険料
- 国民健康保険料or後期高齢者医療保険料
税金は一定額に満たない場合には天引きされません。
また、社会保険料は年間の年金受給額が18万円以下の場合には天引きされないといったケースもあります。
手取り額は額面の80~95%程度を想定しておくと良いでしょう。
1.2 【盲点】天引きされる社会保険料の負担が大きくなる可能性がある
先ほどご確認いただいた老齢年金から天引きされるお金のうち、社会保険料については増加傾向にある点をおさえておきましょう。
例えば、3年ごとに見直しが行われる介護保険料は約20年間で2倍以上増えています。
上図のとおり、介護保険料の全国平均は2000年度では2911円でしたが、2020年度は6771円となっています。
さらに2025年度には8165円になると推計されており、負担増が懸念されます。
財源確保に向けてある程度の保険料増額は仕方がないかもしれません。
しかし、将来的に年金額減少が懸念される中、さらなる負担増は多くの高齢者を苦しめることとなるでしょう。
1.3 【盲点】年金振込額が「10月」から変わるケースもある
年金から天引きされる税金や保険料の金額が年度途中に変わるケースがあることも把握しておきましょう。
住民税や保険料は前年度の所得をもとに、翌年度に徴収すべき金額を決定します。
前年度の所得が決定するのが6月頃、その後天引き額の計算が行われます。
計算や事務処理等の関係で天引き額が変わるのが年度途中の10月支給分あたり。天引き額が変わることにより、振込額も変わります。
2024年度の住民税の天引きスケジュールを例として見てみましょう。
まず、前提として公的年金の支給は毎月ではなく2ヶ月に一度となります。
上図のとおり、2024年度の前半4月・6月・8月の年金支給時には、前年度の住民税額が決定していないため、仮徴収ということで前年2月と同額の住民税が天引きされます。
そして6月~9月頃にかけて前年度の所得額確定→住民税額確定→事務処理となり、10月支給分から本徴収となるのです。
2024年度10月・12月・2月支給分では、前年度の所得における正しい住民税を徴収できるよう、仮徴収分と調整が行われるため、納税額に過不足は生じない仕組みとなっています。
投資信託や株などの売却により一時的に所得が増えた場合には、翌年度後半の年金手取り額がこれまでより大きく減る可能性があることを把握しておきましょう。
※自治体によっては8月を本徴収の開始としているところもあります。スケジュールや実際の振込額については、個別にご確認ください。
その他、年の途中で65歳を迎えた方なども、天引き開始により振込額が変わるケースがあります。
最後に、老後の大切な収入源となる公的年金の平均受給額をチェックしておきましょう。