最近は老後破綻という言葉が一般に浸透してきて、「もしかして自分も?」と思う人もいるのではないでしょうか。40代を過ぎると定年退職も見えてきて、これからどうやってお金を準備していこうかと悩む人も多いのではないかと思います。

そこで今回は、老後破綻を免れるために40代でやっておきたいことをご紹介します。

40代になったらまず「年金」を調べよう

40代に突入したらすぐに、自分の年金について調べてください。「ねんきん定期便」や日本年金機構のWebサイト上で確認することができます。

自分が将来的にどれだけ年金をもらうことができそうか、きちんとイメージができているでしょうか。そこのイメージができないと、老後資金として自分がどれだけお金を用意しておかないといけないのか、というイメージもできず、お金を用意することができません。

いくら払っているのか、いくらもらえるのか、まずは自分で計算してみてください。また、配偶者がもらえる金額についても見ておくことをオススメします。でないと、老後の必要額を考えるときにうまく計算できなくなってしまいます。夫婦2人合わせての年金額を把握するようにしてください。

引退後の生活をイメージしよう

年金の受給額を確認するのと同時並行で進めてほしいのが、理想の生活をイメージすることです。「夫婦で世界一周旅行に出たい」とか「キャンピングカーで日本中を旅しながら生きていきたい」とか、夫婦の理想の「引退後の暮らし」があると思います。

その「理想の暮らし」をするには、毎月どのくらいのお金がかかりそうでしょうか。それを試算すると、現実とのギャップが見えてくるはずです。

たとえば、理想の生活をするために必要な毎月の生活費が35万円、もらえる年金が夫16万円、妻9万円だとすると、受給額はトータルで25万円、およそ10万円のギャップがありますよね。少なくとも、この10万円は自分で用意しなければならないため、ちょっと不安に感じる人も多いと思います。

さらに、老後は何かとケガや病気の可能性も高くなるため、ちょっと余分なお金を残しておきたいという人もいますよね。また、このくらいの時期には車の買い替えもしないといけないとか、家の修繕にお金がかかるかもしれない、孫の入学記念に何か買ってあげたい、など引退後の生活にもさまざまなイベントが待ち受けています。

そういうものを今からすべて想定するというのはちょっと難しいかもしれませんが、思いつく限り想定して備えておくことでイメージした老後資金と実際に使う老後資金のギャップを減らすことができますよね。

つまり、年金受給額の確認と理想の生活でかかるお金とのギャップを知ることがスタート地点となります。

iDeCoで節税しながら効率よくお金をふやそう

理想の生活をするための十分なお金がまだ用意できていない、と思ったら、早急に対策を取る必要があります。定年後も働くことができますが、定年後に継続雇用で働いたとしても、待遇がかなり落ちるケースも少なくありません。

ということは、現役である今のうちに老後資金を作っておかないと老後資金が足りなくなってしまうこともあるのです。40代から貯めるには、より効率よく、確実にお金を貯めていく必要があります。しかし、普通の定期預金だけでは金利も低く限界がありますよね。そこでiDeCoを活用して、効率よくお金をふやしていくのがおすすめです。

iDeCoなら節税効果が高く、その分を将来への投資に振り向けることができます。そもそも国が「各自で老後資金を用意してほしい」という趣旨で設立した制度であるがゆえに大きな節税が認められているので、これを活用しないのは非常にもったいないことです。

ただし、40代から始めて残り20年間、焦りからハイリスク・ハイリターンの金融商品に資金を振り向けて資産が目減りするのもよくないので、資金はバランスを考えて振り分けてくださいね。

2人の生活スタイルを変える

現役の若い夫婦なら、それぞれ決まったお金を出し合って生活を成り立たせていき、あとはお互いの好きに使うということもよくあります。しかし、定年退職後までもその生活を続けていると、なかなか大変な面も出てきます。どこかのタイミングで切り替えをして、2人がお金に困ることなく生活していけるように生活スタイルを変更する必要がありますよね。

特にお互いがバリバリ働いて、バリバリ稼いでいる共働き夫婦の場合、お小遣い制でなく、お互い一定の生活費を拠出して、残りの金融資産は相手に秘密にしているケースもあると思います。それでも若いうちはいいのですが、40代になると定年退職もちょっとずつ見えてきますし、お互いにどれだけ資産があるかというのを把握したうえで、今後の資金計画を立てる必要があります。

お互いの金融資産が思ったよりも少ない場合、ある程度のリスクを取りながらお金をふやす必要があります。逆に、思ったよりお互いに金融資産を持っていて、それをもとに老後の生活をしていこうという意思で一致している場合にはそれほどリスクを取って投資に回す必要がないかもしれませんよね。

そのあたりの感覚をはっきりさせるためにも、お互いの金融資産は把握しておくことをお勧めします。

まとめ

いかがでしたか。老後破産という言葉の響きは非常に恐ろしく、なんとなく優雅で幸せな定年退職後の生活をイメージしていた人にはちょっと衝撃ですよね。しかし、今気が付いて軌道修正できれば老後破産の可能性はぐっと低くなります。まずは現実を知ることから始めてみましょう。

大塚 ちえ