3. 今すぐ始められる老後対策2選
老後生活が目前に迫っている50歳代の方々の中には、「今さら老後資金の準備を始めても手遅れなのでは?」と考えている方がいるかもしれません。
たしかに、若い世代に比べると準備できる期間は短いですが、準備を始めるのと始めないのとでは、10数年後に大きな差が生まれている可能性があります。
ゆとりある老後を過ごすためにも、今からできることを始めていきましょう。
3.1 家計を見直す
まずは、家計の収支を把握し、削減できる支出がないか調べてみましょう。例えば、以下のような固定費を削減できれば、1年間で数万円以上を節約できる可能性があります。
- 住居費
- 水道光熱費
- 通信料
- 保険料
- サブスクリプションサービス
- 教育費
- 各種ローン
上記の中でも、通信料や保険料、サブスクリプションサービスは見直しやすい項目と言えます。
3.2 資産運用を行う
銀行預金などで堅実に貯蓄するのもよいですが、それでは資産を増やすのが難しく、物価の上昇によって資産価値が低下するリスクもあります。
そのため、家計の見直しによって資金を捻出できたら、資産運用に回すことを検討しましょう。
老後資金の準備が目的であれば、新NISAを活用した積立投資や、iDeCo(個人型確定拠出年金)がおすすめです。
「長期・積立・分散」によってリスクを大幅に抑えることができるので、なるべくリスクを抑えたい方にも向いている方法です。
また、運用期間が長ければ長いほど複利効果が大きくなるので、比較的安定した運用成果が期待できます。
4. 老後に向けて早めの行動を
50歳代・年収500~750万円未満の世帯では、年収500万円未満の世帯に比べれば多くの資産を有しています。
ただし、実際の貯蓄額には世帯差があり、誰しもが平均値や中央値のような貯蓄ができているわけではありません。
貯蓄がゼロの世帯も2割程度あるのが現状であり、中には日々の生活に手一杯で、貯蓄に回す余裕がない世帯もあるでしょう。しかし、自分の老後には可能な限り自分で備えなけばなりません。
老後資金の準備は一朝一夕でできることではないので、家計の見直しや資産運用など、できることから早めに準備を始めていきましょう。
4.1 ご参考:50歳代の貯蓄額一覧
収入事情は世帯で異なるものの、同年代の貯蓄が気になるという方もいるでしょう。
参考までに、50歳代の貯蓄額一覧もご紹介します。
50歳代・単身世帯
- 金融資産非保有:38.3%
- 100万円未満:11.2%
- 100~200万円未満:5.2%
- 200~300万円未満:2.7%
- 300~400万円未満:3.6%
- 400~500万円未満:3.8%
- 500~700万円未満:4.6%
- 700~1000万円未満:5.5%
- 1000~1500万円未満:4.9%
- 1500~2000万円未満:4.1%
- 2000~3000万円未満:4.4%
- 3000万円以上:9.3%
平均:1391万円
中央値:80万円
50歳代・二人以上世帯
- 金融資産非保有:27.4%
- 100万円未満:9.1%
- 100~200万円未満:6.4%
- 200~300万円未満:3.8%
- 300~400万円未満:3.9%
- 400~500万円未満:3.8%
- 500~700万円未満:5.6%
- 700~1000万円未満:5.5%
- 1000~1500万円未満:8.9%
- 1500~2000万円未満:4.2%
- 2000~3000万円未満:5.4%
- 3000万円以上:11.2%
平均:1147万円
中央値:300万円
参考資料
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」
- 総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要」
加藤 聖人