2. 新卒2年目になると給与手取りが下がるかもしれないのは何故?
続いて、給与手取りが下がるかもしれない節目のもう1つである「新卒2年目」の、手取り収入が少なくなる理由も見ていきましょう。
新卒2年目になり給与手取りが下がる理由は、給与から新たに「住民税」が引かれるようになるためです。
私たちの給与からは「税金」と「社会保険料」が天引きされており、税金からは「所得税」と「住民税」が徴収されています。
「所得税」は1年間の所得に対して課税される一方で、「住民税」は前年1年間の所得に対して課税されます。
つまり、新卒1年目の所得税はその年に課税されますが、住民税は翌年である新卒2年目に課税されるのです。
なお、厳密には新卒2年目の「6月から」給与手取りが下がるため、新卒2年目の5月までは1年目と同様の手取り額となっています。
2.1 住民税の天引き額はいくら?
では、住民税の天引き額について見ていきましょう。
住民税は大きく分けて「均等割」と「所得割」の2種類で構成されています。
均等割は一定の所得がある場合に定額で課税されるもので、5000円(市町村民税:3500円、道府県民税:1500円)となっています。
一方で、所得割は所得に応じて課税額が変わり課税されるもので、一律10%(市町村民税:6%、道府県民税:4%)です。
住民税の天引き額の算出方法は複雑ですが、ここでは簡易的に上記の均等割・所得割の要件から試算してみます。
住民税を求めるための簡易的な計算式は下記のとおりです。
- 所得割:課税所得(総所得-所得控除)×10%-税額控除の金額
- 住民税:所得割+均等割(5000円)
上記をふまえ、総所得額が300万円、所得控除が100万円、税額控除がない場合の計算式は下記のようになります。
- 所得割=(300万円-100万円)×10%=20万円
- 均等割=5000円
- 住民税:20万円(所得割)+5000円(均等割)=20万5000円
試算結果から、住民税の負担が増えることで、月に1万5000円〜2万円ほど手取り収入が減ることがわかります。
なお、上記シミュレーションはあくまで簡易的な計算例となっているため、調整控除は除外しています。
より詳細な住民税の天引き額が知りたい場合は、毎年6月頃に届く「住民税決定通知書」や、ご自身の給与明細を確認することをおすすめします。
3. 天引きされている税金・社会保険料について知っておこう
本記事では、そのような節目の一例となる「40歳の節目」と「新卒2年目の節目」で、給与手取り額が下がる理由について詳しく紹介していきました。
この他、子育て支援金として負担額が上がることも決定しています。
私たちの給与からは税金や社会保険料が天引きされていますが、それらを理解することで「何が自分の給与から天引きされているのか」「なぜ天引き額が増減しているのか」が分かるようになります。
それぞれの天引き額は年に約数万の負担となっているため、自分の給与から出ていくお金について今一度知っておけると良いでしょう。
参考資料
- 厚生労働省「介護保険とは」
- 全国健康保険協会「協会けんぽの介護保険料率について」
- 横浜市「個人の市民税・県民税について」
- 国税庁「所得税のしくみ」
- 財務省「住民税について教えてください。所得税とはどう違うのですか?そもそも国税と地方税の違いはなんですか?」
太田 彩子