就職活動をする学生に非常に人気のある野村総合研究所、通称NRI(エヌアールアイ)。NRIはコンサルティング会社と見られることも多いですが、主要事業はITソリューションです。今回は、そのNRIについて見ていきましょう。

野村総合研究所の沿革-その始まり

現在の野村総合研究所は1988年に旧野村総合研究所と野村コンピュータシステムの合併を経て誕生しています。旧野村総合研究所は1965年に設立され、野村コンピュータシステムは1966年に設立されました(設立時から1972年までは野村電子計算センター)。

1978年には旧野村総合研究所が経営コンサルティングサービスを開始。また、1979年には野村コンピュータシステムが、セブン‐イレブン・ジャパンとの「新発注システム」を稼働させています。こうしたところに今のNRIの礎があると言えるでしょう。

NRI単体の平均年収は1000万円超!

NRI連結の従業員数は2017年3月期で1万1605人、単体では6003人。そのうち、「金融ITソリューション」が最も多く2374人。次いで「IT基盤サービス」の1377人、「産業ITソリューション」の992人と続きます。「コンサルティング」は「全社共通」を除くと最も少ない740人となっています。

NRI単体の従業員の平均年齢は39.9歳。平均年間給与は1151万円と、NRI単体では平均年収で1000万円を手にすることができる企業と言えます。これは就職活動をする学生にとって魅力的な条件でしょう。

NRIはコンサルティング会社なのか

就職活動をする学生にはコンサルティング会社の顔を見せている同社ですが、事業内容を見ればSI事業者と言えます。

2017年3月期の「コンサルティングサービス」の売上高は全体の約15%でした。一方、最も大きな売上高は「運用サービス」で全体の51%、次いで「開発・製品販売」の31%です。ただし、売上高が最も伸びたのはコンサルティングサービスで、対前年度比で+20%増となっています。

また、セグメント別外部連結売上高で見ると「金融ITソリューション」の中でも証券業向けが約48%と大きな比率を占めています(2017年3月期)。NRIの生い立ちを考えると、当然といえば当然の姿です。

好調な事業は証券向けではない

とはいえ、現在好調なのは証券業向けや、それに次ぐ売上高のある保険業向けではありません。「金融ITソリューション」では銀行業向けであり、また「産業ITソリューション」の製造・サービス業等向けとなっています。

銀行や産業向けといえば、FinTech(フィンテック)やIoT(アイオーティー)といったキーワードとともに、現在ICT産業では様々な取り組みが進んでいる領域です。

ちなみに、野村ホールディングス向けの売上高は716億円と全体の17%程度、セブン&アイ・ホールディングス向けは453億円と同11%程度で、いずれも重要な顧客であることに違いはありませんが、既にこの2つのグループ企業だけでNRIを語れるものではないということは認識しておきたいところです。

NRIの業績はどうか

次にNRIの連結業績についてです。2016年3月期、2017年3月期は売上高成長率が緩慢ではありましたが、2018年3月期は売上高成長率で対前年度比+10%増を見込んでいます。

同社は中期経営計画も発表しており、その中で2019年3月期には連結売上高5,000億円、営業利益700億円を掲げています。新年度の業績見通しでもこの数字が出てくるのかに関心が集まることでしょう。

NRIに経営課題はあるのか

株式市場が注目するのは今後の業績動向というのはどの企業も同じです。では、NRIはどうでしょうか。

2018年3月期第3四半期累計の営業利益は、対前年同期比+9%増と順調に見えます。最繁忙期である第4四半期の結果が待たれるところですが、注目点は来期以降もこの増益ペースを維持できるかということになるでしょう。

今後のNRIは国内需要だけではなく、海外でもM&Aを通じてどのような展開ができるかにも注目です。これまで国内で事業を展開してきた同社が海外需要を取り込み、またM&Aをした企業を効果的に経営できるのかを注視したいところです(オーストラリアASGグループなどの買収実績あり)。

-国内SIerが海外でいかに事業を伸ばせるかに株式市場も注目-

LIMO編集部