「1人30分程度の面接でも、多数の学生と話をするのは一苦労です。もちろん就職活動をする学生の大変さは重々承知していますが、面接を受け入れる方も労力がかかるものです」

「そのため、ある程度まで人数を絞った後に1対1や1対複数の面接を行うという流れでないと、面接に駆り出される現場の社員から理解が得にくいという側面があります。グループ面接やディスカッションは学生を絞り込み、効率的な採用プロセスを実現するための選択肢の一つです」

また、グループ面接やディスカッションには別の狙いもあるようです。近年の学生はエントリーシートの作り込みは実に丁寧で、また完成度が高い内容となっています。”マニュアル通りではないか”という指摘もありますが、逆に言えば、エントリーシートだけでは見分けにくくなっているということでもあります。

A氏はこう続けます。

「マニュアル通りでは対処できないシチュエーションを用意して、その対応力を客観的に見るのにグループ面接やディスカッションという方法は有効ではないでしょうか。それに会社は組織で動きますから、グループの中でどのような動きをするのか、という面を見ることもできます」

グループディスカッションではどの役回りが”おいしい”のか

先に述べたように、グループディスカッションでは様々な役割があり得ますが、どのような学生が魅力的に映るかを聞いてみました。これは社会人としての経験も経た上での私見だと強調したうえで、A氏は次のように言います。

「グループディスカッションで求められるのは次の3つの役割です。1つはモデレーターとして、話を進めながら参加者の意見を引き出すこと、2つ目は議論を活性化させるアイデアを数多く出し、論点を発散させられること、最後に発散した議論に対して適切な批判をした上で、議論の落としどころを見出せること。このどの役割が欠けても有意義かつ建設的な議論にはなりません。このうちのどれかで面接官に印象付けることができれば、次のステップには進めるのではないでしょうか」

皆さんはどのタイプでしょう? どの役回りが自分にしっくりくるかを今一度考えてみるのはいかがでしょうか。

LIMO編集部