仕事のやりがいは何も年収ばかりではありませんが、給与水準が高いに越したことはありません。そうした業種の一つに総合商社があります。三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事という主な総合商社の中でも好調なのが伊藤忠商事。今回は、その伊藤忠商事の業績の中身について見ていきます。
平均年齢は約42歳で平均年収は1300万円超
伊藤忠商事単体の従業員数は4285人。平均年齢は41.5歳で、平均年間給与は1384万円(賞与込み)と、サラリーマンが憧れる一つの目安である年収1000万円を大きく上回っています。
なお、単体の従業員数4285人に海外支店・事務所の現地社員及び受け入れ出向者を加え、国内外の他社への出向者、海外現地法人における勤務者・実習生などを除いた就業人員数は3226人となります。
その内訳で最も多いのが「機械」セグメントで448人。次いで多いのが「繊維」セグメントの419人、そして「食料」セグメントの388人と続きます。伝統ある繊維事業で従業員数が多いのが印象的です。
好調な業績の背景とは
伊藤忠商事は、2018年3月期の会社による連結業績予想において、当社株主に帰属する当期純利益を4000億円としています。2018年3月期第3四半期累計決算(9か月)ではすでに3571億円を計上していますので、順調な進捗といえるでしょう。
総合商社の経営の肝は、事業ポートフォリオの管理だといえるでしょう。モノを右から左に動かして収益を上げるという面もありますが、現在の総合商社は投資家としての顔がより重要となっています。そのため、業績拡大には、より投資リターンの高い機会に資金を投資することが必要となるなど、ある意味ではポートフォリオマネージャー的な側面もあります。
同社の2018年3月期第3四半期累計決算では、単体で1531億円、事業会社で2966億円、海外現地法人で558億円の収益をあげています。この合計から連結修正の▲1,483億円を消去すると、上述の3571億円となります。このように、単体よりも事業会社の収益管理をいかにやり切れるかが全体の収益を見る上で重要であるといえるでしょう。
連結子会社などの採算についても見てみましょう。同社の連結対象会社数は2017年12月末で302あります。うち連結子会社は207、持分法適用会社は95。その連結子会社のうち、87%が黒字、また持分法適用会社では86%が黒字となっています。管理をしなければならない会社の数の多さもさることながら、黒字企業が多いことに驚かされます。
2018年3月期の業績のポイント
2018年3月期通期に話を戻しましょう。当社株主に帰属する当期純利益4000億円の内訳で最も比率が高いのが「食料」で850億円、次いで「金属」の700億円、そして「機械」の570億円と続きます。
対前年度比で見ると、「食料」は前年度の705億円から大幅な増加となっています。この「食料」にはユニー・ファミリーマートホールディングスが含まれており、今期はユニー・ファミリーマート向けの食料関連取引の増加や、ユニー・ファミリーマート統合等に伴う持分法投資損益が増加したことが増加要因となっています。
中長期的な伊藤忠商事の注目点とは
今後の注目点は、短期的には同社の2018年3月期の当期純利益をどこまで拡大できるか、中長期的にはやはりCITIC・CPグループの取り組みといえそうです。
2015年1月に、中国最大のコングロマリットであるCITIC Limitedの株式20%(総額約1.2兆円)を同社とCPグループが折半出資することで、3社間の戦略的業務・資本提携が締結されています。もともと中国での事業展開に強みを持つ同社ですが、どこまで収益への落とし込みができるかに引き続き注目が集まると思われます。
LIMO編集部