3. 厚生年金の平均年金月額
厚生年金は、会社員や公務員など厚生年金適用事業所に勤めて一定の要件を満たす人が、国民年金に上乗せする形で加入します。
保険料は、給与や賞与などの報酬により決定し天引きされています。
老後に受給する年金額は、年金加入期間と保険料により決定し、国民年金に上乗せして支給されるため、国民年金より手厚いといわれています。
なお、国民年金保険料は加入する厚生年金制度により負担されるため、個別に納付する必要はありません。
では、厚生年金を受給する人の平均月額は月どのくらいなのか、確認していきましょう。
※以下、厚生年金の受給額には国民年金(基礎年金)を含みます。
- 〈全体〉平均年金月額:14万3973円
- 〈男性〉平均年金月額:16万3875円
- 〈女性〉平均年金月額:10万4878円
※国民年金部分を含む
全体では月14万円台となりましたが、男女別に見ると約6万円の差があります。
これは女性の方が男性に比べて賃金が低いこと、育児や介護などライフイベントで働き方が変わりやすいことなどが理由と考えられます。
また、上図を見ると男女差だけでなく個人差が大きいことも見てとれるでしょう。
月額1万円に満たない人もいれば、月額30万円以上を受給する羨ましい人もいます。
年金加入期間と現役時代の年収が年金額に影響するため、厚生年金は個人差があることを知っておきましょう。
国民年金と同様に、厚生年金も年代別の平均月額を見ておきます。
4. 【年金一覧表】60歳~90歳以上「厚生年金」の平均年金月額はいくら?
厚生労働省から公表された「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、年齢別の平均年金月額を確認しましょう。
なお、以下の厚生年金はすべて国民年金部分を含みます。
4.1 厚生年金の平均月額(60歳~69歳)
- 60歳:厚生年金9万4853円
- 61歳:厚生年金9万1675円
- 62歳:厚生年金6万1942円
- 63歳:厚生年金6万4514円
- 64歳:厚生年金7万9536円
- 65歳:厚生年金14万3504円
- 66歳:厚生年金14万6891円
- 67歳:厚生年金14万5757円
- 68歳:厚生年金14万3898円
- 69歳:厚生年金14万1881円
4.2 厚生年金の平均月額(70歳~79歳)
- 70歳:厚生年金14万1350円
- 71歳:厚生年金14万212円
- 72歳:厚生年金14万2013円
- 73歳:厚生年金14万5203円
- 74歳:厚生年金14万4865円
- 75歳:厚生年金14万4523円
- 76歳:厚生年金14万4407円
- 77歳:厚生年金14万6518円
- 78歳:厚生年金14万7166円
- 79歳:厚生年金14万8877円
4.3 厚生年金の平均月額(80歳~89歳)
- 80歳:厚生年金15万1109円
- 81歳:厚生年金15万3337円
- 82歳:厚生年金15万5885円
- 83歳:厚生年金15万7324円
- 84歳:厚生年金15万8939円
- 85歳:厚生年金15万9289円
- 86歳:厚生年金15万9900円
- 87歳:厚生年金16万732円
- 88歳:厚生年金16万535円
- 89歳:厚生年金15万9453円
4.4 厚生年金の平均月額(90歳以上)
- 90歳以上:厚生年金15万8753円
※65歳未満の厚生年金保険(第1号)の受給権者は、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢の引上げにより、主に定額部分のない、報酬比例部分のみの者となっています。
一般的な年金受給開始年齢である65歳以降をみると、年齢があがるにつれ平均月額が上がっており、平均で月額14~16万円台でした。
どの世代においても平均月額は15万円前後となるようですが、先述したとおり個人差が大きいため、あくまでも参考程度にご確認ください。
5. 老後資金づくりはマスト!
本記事では「国民年金と厚生年金」の受給額について確認しました。
国民年金は極端に未納が多いケースを除けば大きな個人差は生じません。
一方、厚生年金については現役時代の働き方や収入により非常に個人差が大きいのが特徴です。
老後対策を進める前には、ねんきん定期便やねんきんネットでご自身の見込年金額を確認しましょう。
公的年金だけで足りない場合には、「公的年金を増やす」「私的年金を増やす」「長く働き続ける」「貯蓄をする」「資産運用をする」などさまざまな選択肢から、老後資金対策をおこなうことが大切でしょう。
今回の統計を参考に、ご自身に合った老後資金計画を考えてみてください。
参考資料
和田 直子