日経平均は一時1,000円超の下げ。今年の最安値を更新

2018年3月23日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日より前日比974円13銭安の20,617円86銭となりました。2万1000円を割り込んだのは2017年10月12日以来、約5か月ぶりで、今年の最安値を更新しました。

トランプ米政権は22日、中国による知的財産権の侵害を理由に、500億ドル~600億ドル(約5.2兆円~6.3兆円)相当の中国製品に高関税を課す制裁措置を発表しました。中国側は強く反発し、対抗措置に動く可能性が高くなっています。

そのため、米中間で貿易摩擦が勃発し、世界経済に悪影響を及ぼすとの懸念から、投資家の間にリスク回避の動きが進みました。

22日の米株式相場は大幅に下落。ダウ工業株30種平均は前日比724ドル42セント安の23,957ドル89セントとなりました。米国株は翌23日も続落し、前日比424ドル69セント安の23,533ドル20セントと、2017年11月22日以来ほぼ4か月ぶりの安値となっています。

今週以降の動きはどうなるでしょうか。米中間の貿易戦争が過熱化すると、日本の輸出産業に影響が出ます。加えて懸念されるのは為替相場の動きです。23日のニューヨーク外国為替市場で円相場は3日続伸し、1ドル=104円70~80銭となりました。

米中関係の悪化や貿易摩擦が予想される中、「有事の円」と呼ばれるように、安全資産とされる円を買う動きになっています。21日には米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げペースが年3回とされ、従来通りであったことからも、ドル売りの動きになりました。

1ドル=100円を割り込む可能性は低いという声が多いものの、このまま円高傾向が続けば、日本企業の減益にもつながりかねません。

国内では「森友学園」に関する財務省の決裁文書の書き換え問題により、安倍政権の支持率が低下しています。27日には証人喚問も行われますが、問題の収束が長引くようであれば、政治リスクを嫌気した海外投資家の売りにつながる可能性があります。

200日移動平均線を割り込み、下降トレンドラインを形成

先週の動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。先週は19日に窓をあけて下落しました。春分の日で休業明けとなった22日は窓埋めの陽線となりましたが、25日線付近で上値を押さえられました。

さらに、トランプ米大統領の発言などを受けて、23日には200日移動平均線を割り込む水準まで一気に下落し、下降トレンドラインが形成されました。。

Wボトム形成が失敗し、足元では目線は下に

今週の動きはどうなるでしょうか。まずポイントとしては、Wボトム、トリプルボトムが形成されつつあったものの、いずれも失敗したことです。直近の上値めどである2月27日の高値(22,502円)、3月12日の高値(21,971円)、さらには両者を結ぶネックラインを超えることができませんでした。

逆に懸念されるのは、長い間下値サポートラインとなっていた200日移動平均線や、この付近で下値めどとなっていた2月14日の安値(20,950円)、3月5日の安値(20,937円)を割り込んだことです。このことで、日足だけでなく、週足などの中期的なトレンドラインについても、その下限を割り込むことになりました。

足元では、200日線や2月14日の安値、3月5日の安値と重なる21,000円あたりを回復するまでは目線を下に持たざるを得ません。ただし、そのまま2万円割れまで一気に進むとも考えにくいところです。

特に、20,300円付近は昨年長期間にわたりレンジになっていた上限で、抵抗は大きいと考えられます。短期的には、このあたりまで押した後、21,000円付近までの小幅なもみ合いになることも考えられます。

下原 一晃