4. 定年退職した国家公務員の5人に1人が再任用…そのワケは?
老後は安泰に思われる国家公務員ですが、人事院の調査によると60歳で定年退職をむかえた国家公務員のうち、約90%が引き続き仕事を続けています。そのなかで「再任用」を選択して働く国家公務員は約80%。
その働く理由については「日々の生計維持のため」とする回答が85%を占めているのです。
また、同調査では現在の家計の状況について、17.8%が「ゆとりがある」と回答していますが、「毎月のやりくりに苦労しており、時々赤字が出る」が22.6%、「どうやりくりしても、常に赤字が出て生活が苦しい」が17.9%という結果になりました。
世帯収入の内訳には本人の収入のほか、配偶者の収入や公的年金以外の年金収入なども含まれます。配偶者が働いているかどうか、公的年金以外の準備を行っているかどうかなども、60歳以降の生活に大きく関わってくるでしょう。
5. 【一般企業】企業勤めの会社員、定年退職金はいくらか
それでは、大企業や中小企業に勤める会社員の定年退職金はどのくらいなのでしょうか。
まずは、一般的に「大企業」と分類される企業からチェックしていきましょう。
最新の統計である中央労働委員会「令和3年賃金事情等総合調査(確報)」によると、資本金5億以上かつ労働人材が1000人以上の企業のモデル定年退職金は、大学卒・高校卒それぞれ下記の結果となりました。
- 大学卒:2563万9000円
- 高校卒:1971万2000円
※学校を卒業後ただちに入社して標準的に昇進した者のうち、事務・技術(総合職相当)
一方、東京都産業労働局の調査データでは、企業規模が300人未満の企業の定年退職金は下記の結果となりました。
【大学卒】
- 企業規模10~49人の退職金:979万3000円
- 企業規模50~99人の退職金:1141万8000円
- 企業規模100~299人の退職金:1323万円
【高校卒】
- 企業規模10~49人の退職金:880万3000円
- 企業規模50~99人の退職金:1065万9000円
- 企業規模100~299人の退職金:1204万5000円
※卒業後すぐ入社し、普通の能力と成績で勤務した場合の退職金水準
上記を比較すると、大企業のほうが中小企業よりも1000万円ほど差があることがわかります。
とはいえ、企業の退職金は各企業の制度や入社時の学歴などによって格差が大きいため、上記の金額はあくまで目安として参考にすると良いでしょう。
6. 退職金だけに頼りすぎない「老後生活」の資金準備を
今回は公務員の退職金や、企業に勤める会社員の退職金について確認していきました。
各調査データによると、国家公務員・大企業の会社員ともに「長年」勤めている人は、定年退職金として2000万円以上もらえる可能性が高いといえるでしょう。
しかし、退職金を受け取るには公務員や大企業に勤務していても「定年」まで勤務し続けることが前提条件。転職や早期退職を検討されている方は注意が必要です。
もし老後資金に不安があるのであれば資産運用を行うのも選択肢の一つといえます。2024年から新しくなった「NISA」や「iDeCo」といった非課税制度など、自分に合った方法で資産運用を始めてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 人事院「2023年度 国家公務員中途採用者選考試験(就職氷河期世代) 実施状況」
- 人事院「国家公務員中途採用者選考試験(就職氷河期世代)の合格者発表」
- 内閣官房内閣人事局「退職手当の支給状況」
- 東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」
- 厚生労働省 中央労働委員会「令和3年賃金事情等総合調査(確報)」
- 厚生労働省「退職給付(一時金・年金)の支給実態 」
西村 翼