2. 高額の着物が二束三文に?買取価格が安い理由
良質な着物が市場に出回っているのであれば「二束三文で買取されることはないのでは?」と考えるのは、自然なことです。 しかし、現実では納得のいかない価格で買取されてしまうケースがあります。 その理由に触れていきます。
2.1 偽物だった
着物買取専門店で査定してもらっても、二束三文にしかならなかった事例もあります。
バブル時代の全ての着物が、職人の手で織り上げられた作品ではありません。リーズナブルの着物や、精巧な偽物が紛れ込んでいることも……。当然、需要は高くありませんから、買取価格は安くなります。
2.2 高いだけで売れたため質が悪い
バブル時代でも、着物の価値判断は素人目では難しく、十分な知識を持たない人には「値段が判断基準」になっていました。 品質が十分ではなくても「高額品=高級品」となる場面も多かったといわれています。
作りが乱雑な他にも、有名作家の落款で価値を底上げした着物も出回るほどです。バブル時代は、「価格に見合っていない品質のものが入り込む余地があった」と考えられています。
2.3 保存状態が悪い
着物の買取は保存状態に大きく影響します。価値がある着物でも、シミやカビ、シワ、虫食いがあれば査定額に大きく影響するでしょう。
価値が高い着物には、天然素材が使われています。管理方法を誤れば、あっという間に価値が落ちてしまいます。
着物のメンテナンスは洋服よりも複雑です。下記を実施していない着物は、価値が下がってしまう可能性が高いです。 参考にしてください。
- 着用後は汚れを落として、陰干ししていない
- シワを伸ばして収納していない
- たとう紙に包んで、桐箱に保管していない
- たとう紙を定期的に変えていない
- 定期的に虫干しをしていない
2.4 付属品がついていない
共箱、証紙がついていれば、作家や伝統技法の証明になります。無名の作品は、買取価格は安くなる傾向です。
付属品があるからといって、必ずしも価値が高くなるわけではありませんが「付属品も全て揃っていて当たり前」と考えている層も一定数います。
2.5 専門店に売却していない
衣服を売る際には、何でも買取してくれる総合リサイクルショップを利用する方が大多数です。しかし、これが落とし穴。リサイクルショップは、オーナーなどの経歴によっても異なりますが、基本的に、ブランド品、雑貨、家具などの買取・再販を得意とします。
現在では、着物の生産・需要が下がってきていますから、高額で買取しても売れなければ、意味がありません。リサイクルショップに着物を求めて購入しに来る客層は少なく、販路があまりないことから、積極的に買取しようとしないのは自然なことではないでしょうか。
また、着物買取に特化した査定員がいないことも、買取価格を下げる要因です。 着物は査定が大変難しいジャンル。産地、素材、染色方法など、幅広い情報を熟知していなければ適切な価格がつけられません。
着物買取専門店であってもも、残念ながら着物知識のない査定員が出張買取に来た例などがクチコミで散見されます。「電話で確認していた」「着物をほとんど見ないで価格を決めた」「訊いても着物のことをわかっている様子がない」といった反応です。
テレビCMを積極的に出しているところや、有名キャラクター・著名人が宣伝に関わっていても、必ずしも安心できるわけではない状況。着物買取は、適切な査定員を見つけるのに難航するジャンルと言えるでしょう。