3. 産後ケア事業の利用率はたったの3割。その理由は?
BABY JOB株式会社の調査によると、自治体から産後ケア事業の案内を受けた保護者のうち、実際に産後ケア事業を利用した人は3割にとどまりました。
半数以上が案内が届いていても、産後ケア事業を利用しておらず、その多くが「利用の仕方がよく分からなかった」といった理由で利用を断念しています。
利用するまでの手続きがよく分からなかったり、利用までの手間が複雑で諦めたりする人が多いことから、今後の産後ケア事業では、利用手続きの簡略化が求められるとうかがえます。
なお、BABY JOB株式会社の同調査において、産後ケア事業を利用した人の約9割が「周りにおすすめしたい」と回答しており、満足度は高い結果となっています。
実際に利用した産後ケア事業として最も多かったのは「自宅訪問ケア」が50.7%、次いで「産後ケア施設や病院等でデイサービス(日帰り)」が39.2%、「産後ケア施設や病院等でショートステイ(宿泊)」が35.6%となりました。
利用した保護者からの満足度は高い産後ケア事業ですが、実際に利用した人からは「予約がいっぱいだった」「より気軽に予約が取れるようにしてほしい」といった意見もあげられています。
このことから、「利用実施〜実際に利用するまで」に課題がまだ多く、気軽に利用するにはハードルが高い現状がみてとれます。
4. 異次元の少子化対策で「産後ケア事業」の利用がしやすくなるか
本記事では、「産後ケア事業の概要」や「どのような人が対象なのか」などについて詳しく解説していきました。
BABY JOB株式会社の調査では、自治体から産後ケア事業の案内を受けた保護者は全体の7割にのぼりましたが、実際に利用した人のそのうちの3割にとどまる結果に。
一方で、実際に利用した人の多くが「おすすめしたい」と回答し、産後ケア事業の利用満足度は高い傾向にあります。
しかし、「利用の仕方がわからない」「費用が高い」「予約がしにくい」といった声も多くあげられているため、今回の政府の政策によって、産後ケア事業がどのように改善されるか注目が集まっています。
参考資料
- こども未来戦略会議「「こども未来戦略方針」案~次元の異なる少子化対策の実現のための「こども未来戦略」の策定に向けて~」
- BABY JOB株式会社「異次元の少子化対策として拡充を進める「産後ケア事業」、利用率はたった3割に留まる。利用者の9割が「おすすめしたい」と回答するものの、利用ハードルは高い状況」
- こども家庭庁「産後ケア事業について」
- 厚生労働省子ども家庭局「産後ケア事業の実施状況及び今後の対応について」
- こども家庭庁「令和4年度 児童相談所における児童虐待相談対応件数(速報値)」
太田 彩子