低金利の時代、銀行にただ預けておくだけではお金は到底増えそうもない。一方で「お金に働いてもらう」といっても株式投資はわかりにくいし、自分だけ損をしたらどうしようと心配になる。お金まわりのことは家族や友達にも相談しにくい。そう考えている人も多いだろう。

ではお金に関して「気軽に相談できるコミュニティ」があったとしたら。そこで、株式投資を学べるとしたらどうだろうか。いままさに、そうした取り組みが始まろうとしている。コミュニティ型株取引アプリ「STREAM(ストリーム)」がそれだ。

コミュニティの力で株式投資に関する悩みを解決したい

「STREAM」は株式会社Finatext(以下、フィナテキスト)の子会社で、次世代の証券プラットフォームの実現を目的に2017年に設立された株式会社スマートプラス(以下、スマートプラス)が立ち上げたサービスだ。

フィナテキストは、投資コミュニティアプリ「あすかぶ!」やFXアプリ「かるFX」を開発・運営している。「STREAM」はフィナテキストが培ってきたノウハウを発展させた先に生まれたサービスだと言えよう。

スマートプラスは株式投資が浸透しない現状について「多様なユーザーニーズに応えられていない画一的な金融サービスにも原因があると推測している」とする。実際に、株式投資の初心者は「手数料体系がわかりにくい」「相談相手がいなくて不安」「分析が難しい、時間がかかる」といった悩みを抱えがちだ。

こうした悩みに対する解としてスマートプラスが提案するのがSTREAMだ。新しいテクノロジーとコミュニティの力を使い、自然に株に対する理解が深まる、取引アイデアが生まれる、気軽に取引ができる、こうした点を実現していくという。

フィナテキスト代表取締役の林良太氏は、2月28日に都内ホテルで行われたSTREAMのサービス発表会において「証券業界、株を根っこから変えたい」と力を込めた。

コミュニティにおける「口コミ」の信頼度はどう担保するのか

STREAMの目玉はコミュニティだ。銘柄ごとに掲示板やニュースに対するコメント機能があり、自分の意見を述べたり、他のユーザーの意見を読んだりすることで自然に株に関する知識を身につけられるという。また、有益な情報を投稿するユーザーを見つけてフォローすることで、役立つ情報を効率的に収集することも可能だ。

さらに、「コミュニティポイント」の制度により、コミュニティでの活動に応じてポイントが付与され、それに応じて株取引の際に優遇が受けられる仕組みも作っている。

一方で、こうしたユーザー間における風説の流布も気になるところだが、STREAMの担当者は以下の点を強調する。

「STREAMは証券口座であるため、厳格な本人確認に基づき開設される。そのためユーザーの身元は完全に把握されており、風説の流布など相場操縦行為は起きにくい環境と言える。内部管理部門の監視態勢はもちろん、規約上の禁止行為として明確化しているので該当コメントを発見すれば直ちに削除する。さらに他のユーザーからの通報機能もあり、多重の措置を講じている。こうした措置を施したインターネット上の株取引コミュニティはこれまでなかったのではないか。むしろ、STREAMは最も信頼性の高い株取引コミュニティと言えるだろう」

手数料0円の衝撃

コミュニティ型アプリという一風変わったスタイルだけでなく、STREAMはもうひとつ挑戦的な特徴を打ち出した。それは「従来型株式委託手数料0円」という手数料体系だ。

取引額や取引回数などに関係なく0円というこの手数料体系は、日本初の試みだ。株式投資のすそ野を広げたいという思いでこの手数料を決めたという。

提供側としては恒常的に手数料収入ゼロになるが、スマートプラスは収益について、同じく発表した「SMART取引」の手数料(立会外取引を利用し、東証の株価気配値よりも有利に約定できた場合に、当該気配値と実際の約定価格の差額相当分から50%が手数料として発生する)、信用取引の信用金利、ソリューション事業で総合的にマネタイズする予定だとする。

3月中にSNS機能限定版、4月に株取引可能版をリリース予定

STREAMは月内にもSNSの機能に限定したバージョンが公開されることになっている。4月以降には、株取引もできるようになる予定だ。

新たなすそ野を広げるのか、STREAMの名の通り、証券業界に新たな流れを生みだすのか、今後に注目が集まる。

LIMO編集部