3. 医療費控除のシミュレーション

医療費控除を利用した場合に、所得税がいくら還付されるのか、それぞれ確認しましょう。

3.1 総所得金額が200万円以上の場合

実際に、年収が600万円のケースだと所得税がいくら還付されるのか確認しましょう。

年収を含めた条件は、以下の通りです。

  • 年収600万円
  • 社会保険料控除は90万円
  • 年間の医療費は50万円
  • 医療保険の給付は10万円
  • 医療費控除以外の控除なし

まずは、年収600万円の所得金額と課税所得について確認しましょう。

まずは年収から給与所得控除を差し引いたうえで、社会保険料と基礎控除を計算します。

  • 総所得金額(収入-給与所得控除):600万円-164万円=436万円
  • 医療費控除以外の控除額:社会保険料控除(90万円)+基礎控除(48万円)=138万円
  • 課税所得:436万円-138万円=298万円

課税所得298万円から、医療費控除で控除する分を差し引きます。

医療費控除額は、以下の通りです。

  • (医療費-保険金)-10万円=医療費控除額
  • (50万円-10万円)-10万円=30万円

医療費控除を受ける場合は、課税所得が268万円になります。

医療費控除を受けない場合、課税所得から必要な所得税を計算すると、20万500円です。

医療費控除を受けた場合の所得税は、17万500円になります。

医療費控除を受ける前と後で、3万円の差になりました。

3.2 総所得金額が200万円未満の場合

次は、年収が150万円のケースで、医療費が10万円に満たない場合、所得税がいくら還付されるのか確認しましょう。

年収を含めた条件は、以下の通りです。

  • 年収150万円
  • 社会保険料控除は15万円
  • 年間の医療費は8万円
  • 医療費控除以外の控除なし

まずは、年収150万円の所得金額と課税所得について確認しましょう。

まずは年収から給与所得控除を差し引いたうえで、社会保険料と基礎控除を計算します。

  • 総所得金額(収入-給与所得控除):150万円-55万円=95万円
  • 医療費控除以外の控除額:社会保険料控除(15万円)+基礎控除(48万円)=63万円
  • 課税所得:95万円-63万円=32万円

課税所得32万円から、医療費控除で控除する分を差し引きます。

医療費控除額は、総所得金額の5%です。

  • 医療費-(総所得金額×5%)=医療費控除額
  • 8万円-(95万円×5%)=3万2500円

医療費控除を受ける場合は、課税所得が28万7000円になります。

医療費控除を受けない場合、課税所得から必要な所得税を計算すると、1万6000円です。

医療費控除を受けた場合の所得税は、1万4350円になります。

医療費控除を受ける前と後で、1650円の差になりました。

4. 医療費控除の還付は申告してすぐに受け取ろう

医療費控除の還付申請は忘れずに

確定申告の医療費控除の書類

umaruchan4678/shutterstock.com

総所得金額が200万円未満であれば、医療費が10万円以下でも医療費控除が受けられる可能性があります。

医療費控除は、確定申告をしないと還付されません。

対象となる場合は、早めに確定申告をして医療費控除を受けてください。

参考資料

川辺 拓也