厚生労働省が2024年度(令和6年度)の年金額の例を発表しました。
国民年金(老齢基礎年金)の1人分は6万8000円(前年度比+1750円)で、厚生年金に関しては、標準的な夫婦2人分で23万483です。この金額は、「40年間会社員等として月額43万9000円を稼いだ夫の厚生年金と国民年金」と「40年間専業主婦(または自営業など)だった妻」の夫婦2人分の額を指します。
年金問題といわれている昨今ですが、前年比で見ると受給額は上がっているので安心した方もいるかと思います。
しかし、年金の受給は現役時代の働き方や収入によって異なります。つまりは年金だけで老後の生活を送れる場合もあれば年金では不足してしまう場合もあるでしょう。
本記事では、厚生年金に着目し、「月15万円以上」を受け取れる人は2人に1人以上いるもの?についてみていきます。
将来自分がどのくらいの年金を受け取れるのか確認し、将来に備えていきましょう。
1. 厚生年金と国民年金とは?公的年金制度の仕組みをおさらい
日本の公的年金は、国民年金と厚生年金の2階建て構造になっています。そのため、「国民年金のみに加入する人」と「国民年金に上乗せして厚生年金にも加入する人」に分かれています。
それぞれの特徴も確認しましょう。
1.1 国民年金(1階部分)
- 原則、日本国内に住む20歳以上60歳未満の全員に加入義務がある
- 保険料は一律
- 納付した期間に応じて将来もらえる老齢基礎年金額が決まる
1.2 厚生年金(2階部分)
- 公務員やサラリーマンなどが加入する
- 収入に応じた保険料を支払う(上限あり)
- 加入期間や納付額に応じて将来もらえる老齢厚生年金額が決まる
個人によって加入する年金や納付期間が異なるため、将来の年金受給額には個人差があります。
特に厚生年金は年収に応じた保険料を支払うため、より個人差が大きくなっています。
2階建て構造であることから、厚生年金に加入していた人は比較的手厚い老齢年金を受け取れると言えるでしょう。
厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の平均額は14万3973円(国民年金を含む)。しかし、個人差が大きいゆえ平均額では実情がわからない現状もあります。
厚生年金を「月額15万円以上」受給する人は2人に1人以上いるのでしょうか。
2. 厚生年金「月額15万円以上」受給する人は2人に1人以上?
厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、厚生年金の受給事情を見ていきます。
なお、厚生労働省の資料では厚生年金の金額に国民年金が含まれる点にご留意ください。
2.1 厚生年金の平均年金月額
〈全体〉平均年金月額:14万3973円
- 〈男性〉平均年金月額:16万3875円
- 〈女性〉平均年金月額:10万4878円
全体平均が14万3973円ときくと、なんとなく多くの人は15万円程度を受給しているイメージを持つかもしれません。
次に、厚生年金をひとりで「月額15万円以上」受給する人は何パーセントいるのかみていきましょう。
2.2 厚生年金受給額ごとの人数(1万円刻み)
- 1万円未満:6万1358人
- 1万円以上~2万円未満:1万5728人
- 2万円以上~3万円未満:5万4921人
- 3万円以上~4万円未満:9万5172人
- 4万円以上~5万円未満:10万2402人
- 5万円以上~6万円未満:15万2773人
- 6万円以上~7万円未満:41万1749人
- 7万円以上~8万円未満:68万7473人
- 8万円以上~9万円未満:92万8511人
- 9万円以上~10万円未満:112万3972人
- 10万円以上~11万円未満:112万7493人
- 11万円以上~12万円未満:103万4254人
- 12万円以上~13万円未満:94万5662人
- 13万円以上~14万円未満:92万5503人
- 14万円以上~15万円未満:95万3156人
- 15万円以上~16万円未満:99万4044人
- 16万円以上~17万円未満:104万730人
- 17万円以上~18万円未満:105万8410人
- 18万円以上~19万円未満:101万554人
- 19万円以上~20万円未満:90万9998人
- 20万円以上~21万円未満:75万9086人
- 21万円以上~22万円未満:56万9206人
- 22万円以上~23万円未満:38万3582人
- 23万円以上~24万円未満:25万3529人
- 24万円以上~25万円未満:16万6281人
- 25万円以上~26万円未満:10万2291人
- 26万円以上~27万円未満:5万9766人
- 27万円以上~28万円未満:3万3463人
- 28万円以上~29万円未満:1万5793人
- 29万円以上~30万円未満:7351人
- 30万円以上~:1万2490人
※国民年金部分を含む
厚生年金を「ひとりで月15万円以上」受給しているのは46.1%でした。実は半数にも満たないのが現状のようです。