株価下落から戻しつつある中、パウエルFRB議長初の議会証言に注目

2018年2月23日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日より156円34銭高の21,892円78銭となりました。22日の米株式市場でダウ工業株30種平均が3営業日ぶりに反発したことや、投資家が注目する長期金利が低下したことから、日本株も買いが優勢となりました。

足元の株式市場急落の要因の一つとされるVIX指数(恐怖指数)が安全圏とされる「20以下」となっていることもあって、投資家の心理も改善しつつあります。ダウ平均は1月26日の高値からの下げ幅の3分の2近くまで戻しています。日経平均も直近の下落幅の3分の1程度の戻しを達成していますが、日本株の戻りの勢いは米株ほどではありません。

日経平均株価の過去1カ月間の推移

その理由は為替相場の動向です。足元で円高が進んでいることから、日本の輸出企業の収益に影響が出るのではないかと懸念されています。3月期決算が下振れになる企業が増えるようであれば注意が必要です。

今週以降の動きはどうなるでしょうか。引き続き、米株や為替の動向に振られる展開になりそうです。2月5日には米国の連邦準備制度理事会(FRB)議長にジェローム・パウエル氏が就任しました。2月27日と3月1日には、上下両院で就任後初の議会証言も行われます。

FRBは今年の利上げ回数を3回としていますが、さらに増やすのではないかとも言われています。最近の世界的な株高は「適温相場」と言われる、好景気と低金利の共存が前提となっていました。FRBはこれまで慎重で緩やかな利上げという方針を守ってきましたが、パウエル氏への交代で本格的に利上げを行うような方針に移るとすれば、再度投資家心理が悪化することになります。

ただし、現状は、パウエル氏は利上げに積極的なタカ派寄りではないと見られています。まずは今週行われる証言内容に注目したいところです。

5日移動平均線をはさんで小幅にもみ合う展開

先週の動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。週初の19日は窓をあけて上昇し、寄りつき、さらに高値引けに近い陽線となりました。終値はほぼ2週間ぶりに2万2000円を超えました。

ただし、その勢いは続かず、翌20日にこれを割り込むと2万2000円に上値を押さえられました。しかし、下落の勢いも大きくはなく、5日移動平均線をはさんでもみ合う展開となりました。結局、週間で見ると前週末より172円53銭と、小幅に上昇しました。

25日移動平均線と75日移動平均線のデッドクロスが形成された

今週の動きはどうなるでしょうか。懸念されるのは、先週、25日移動平均線が下降して75日移動平均線を割り込み、デッドクロスが形成されたことです。

足元では目線は下ということになりますが、だからと言って、2万円を割り込むほど急落するとは考えづらいところです。というのも、日足では下降トレンドが形成されていますが、週足は依然として上昇トレンドの中にあります。中長期的にはむしろ、今回の下げは押し目の形になっています。

押し目の下限は21,000円あたりで、これは目先意識されやすいだけでなく200日線にも重なっています。その点では、戻り売りを狙うとしても、このあたりで下げ止まる可能性が高いといえます。

レンジの中で小さく利を取っていくにはいいですが、大きなトレンドを狙うならば、21,000円や、2月14日の安値(20,950円)を割ってからでも遅くはないでしょう。逆に、上値めどとしては、2月19日の高値(22,152円)、2月6日の下落の窓埋めとなる22,682円あたりが目標になります。

下原 一晃