内閣府「第2節 高齢期の暮らしの動向」によると、老後の経済的な暮らしについて「心配なく暮らしている」と回答した65歳以上の方は68.5%にのぼりました。
この数字だけ見ると老後をあまり心配する必要はないようにも感じますが、今の現役世代は「年金だけで十分」なのかについては疑問が残ります。
実際に、厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」によると、年金だけで生活している人は全体の44%にとどまっています。
2024年1月に公表された厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」によれば、2024年4月分からの年金額は2.7%の増額になる予定です。
老後生活を考える上では、年金以外のお金をどれだけ準備出来ているかが重要です。実際のところ、今の60歳代のシニア世代はどれくらいの年金を受給しているのでしょうか。
そこで今回は、60歳代で「貯蓄2000万円」を達成している世帯がどれくらいあるのか、あわせて年金の平均受給額について確認していきたいと思います。
1. 【貯蓄】60歳代で「貯蓄額2000万円」を超える世帯は29.1%
まずは、60歳代シニアの貯蓄事情を覗いていきます。
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」によると、60歳代・二人以上世帯の金融資産保有額は次のとおりです。
1.1 【60歳代】二人以上世帯の金融資産保有額:中央値700万円
- 平均:1819万円
- 中央値:700万円
※金融資産を保有していない世帯を含む
60歳代二人以上世帯の貯蓄額は、上記のとおり平均と中央値で大きく乖離しています。
平均は貯蓄額の大きい世帯により引き上げられていると考えられます。
一方、中央値はデータを小さい順に並べた時に真ん中にくる数字で、より実態に近いと考えられる数値ですので、ここでは中央値を参考として見ておきましょう。
60歳代の貯蓄額の中央値は700万円。これから老後生活を迎える世帯、すでに老後生活が始まっている世帯とが混在する世代となりますが、貯蓄700万円は老後資金として十分と言えるのでしょうか。
貯蓄事情は世帯により異なりますので、金融資産保有額ごとの人数割合で深掘りして見ておきます。
1.2 【60歳代】二人以上世帯の金融資産保有額ごとの人数割合
- 金融資産非保有:20.8%
- 100万円未満:6.1%
- 100~200万円未満:5.5%
- 200~300万円未満:3.3%
- 300~400万円未満:3.2%
- 400~500万円未満:3.4%
- 500~700万円未満:5.3%
- 700~1000万円未満:6.1%
- 1000~1500万円未満:8.6%
- 1500~2000万円未満:5.7%
- 2000~3000万円未満:8.8%
- 3000万円以上:20.3%
- 無回答:2.9%
かつて話題となった「老後2000万円問題」の2000万円を達成している世帯は29.1%、約3割です。
ただし「貯蓄ゼロ」が約2割である一方で、貯蓄3000万円以上も約2割と二極化しているのが見てとれます。