米国株式市場は回復基調だが、日本株は円高の影響も

2018年2月16日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日より255円27銭高の21,720円25銭となりました。ザラバでは一時、上げ幅が400円を超えました。

背景には足元の米国株が好調なことが挙げられます。2月上旬から、米長期金利上昇を受けて株式相場でリスク回避の売りが広がりました。一方で、トランプ政権の減税策などにより米国企業の好業績に対する期待が高まっていることもあって、株安の動きは続かず、米国株は回復に向かいました。

ダウ工業株30種平均は15日まで5日続伸し、2万5,000ドル台を回復。1月26日の過去最高値(26,616ドル)から2月8日の安値(23,860ドル)の下落分の半値戻しに近づきました。

今回の株式市場急落の要因の一つがVIX指数(恐怖指数)です。6日には一時、50を突破し、約2年半ぶりの高水準となりました。最近では、多くの機関投資家がボラティリティ(価格変動率)を売買するような複雑な金融商品の取引を行っています。さらに売買の判断にあたって、コンピュータによるアルゴリズムを利用しているため、判断基準としている指数などがある水準を超えると、多くの機関投資家が一斉に売りに出るという現象が起きます。現在、VIX指数は安全圏とされる「20以下」となっており、市場は落ち着きを取り戻しています。

今週以降の動きはどうなるでしょうか。米国株が回復基調にある一方で、日本株の戻りは芳しくありません。理由は為替相場の動向です。16日のニューヨーク外国為替市場で円は一時1ドル=105円台と1年3カ月ぶりの円高・ドル安水準となりました。けっきょく、16日は1ドル=106円25~35銭で取引を終えたものの、今後円高傾向が続くようであれば、企業の業績にも影響が出るだけに懸念されるところです。

ちなみに、米国は19日、祝日のため休場で、流動性が低くなることも考えられるため注意が必要です。20日には急な値動きになることも予想されます。

5日移動平均線を上回り、下げの動きは一服か

先週の動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。連休明けの13日は窓をあけて上昇して寄りついたものの、その後は陰線となりました。翌14日も陰線となりましたが、200日移動平均線付近で反発すると、下ひげの長いローソク足となり反転を予感させました。

そのとおり、15日には陽線となり、ローソク足の実体が5日移動平均線を上回りました。さらに16日には5日移動平均線に下値をサポートされるように上昇しました。1月下旬からの下げの動きが一服したように思われます。

25日移動平均線と75日移動平均線のデッドクロスが形成されつつある

今週の動きはどうなるでしょうか。懸念されるのは、昨今の下落の動きを受けて、25日移動平均線が下降して75日移動平均線に近づいていることです。両移動平均線によるデッドクロスが形成されつつあります。

ただし、デッドクロスが形成されても、ただちに反落するとは考えづらいところです。足元では大きく値を下げましたが、それでも週足のトレンドラインは割っておらず、依然として上昇トレンドの中にあります。中長期的にはむしろ、今回の下げは押し目の形になっています。RSIや騰落レシオなどの指標は「売られすぎ」となっていることから、このあたりから買いに回る投資家も出てきそうです。

下値めどとしては、目先意識されやすく200日線にも重なる21,000円あたりになるでしょう。上値めどは2月7日の戻り高値(22,353円)や6日の窓埋めとなる22,700円あたりになるでしょう。

下原 一晃