2024年度の年金額の例が公表されました。
これは、2024年1月に総務省が公表した「令和5年平均の全国消費者物価指数(生鮮食品を含む総合指標)」を受け、厚生労働省が発表したものです。
今年度に比べて2.7%の引上げとなる予定ですが、これ以外にもさまざまな改定があります。
今回は中でも「在職老齢年金」に着目してみましょう。
昨今では働くシニアが増加しており、現役世代の方でも「定年退職後もできる限り働くつもり」という方がいるでしょう。
そんな方は、「在職老齢年金」について知っておく必要があります。給与と年金の合計金額によっては、厚生年金がカットされる可能性もあるのです。
くわしく見ていきましょう。
1. 在職老齢年金とは?年金と給与の関係
在職老齢年金とは、厚生年金に加入しながら給与を得ている方が受け取る年金のことです。
老齢厚生年金の基本月額と給与や賞与の額(総報酬月額相当額)に応じて、年金の一部または全額が支給停止となります。
※「基本月額」とは加給年金額を除いた老齢厚生(退職共済)年金(報酬比例部分)の月額、「総報酬月額相当額」とは、(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12 を指します。
基本月額と総報酬月額相当額との合計が支給停止調整額を超える場合、年金は支給調整(支給停止)となります
- 基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-支給停止調整額)÷2
つまり年金がカットされる可能性があるため、働くシニアはその支給停止調整額を意識しています。
2024年度、支給停止調整額が大幅に上がりました。くわしく見ていきましょう。
2. 【2024年度】在職老齢年金の支給停止調整額が引上げ
厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」によると、2024年度の支給停止調整額は50万円になりました。
2023年度は48万円だったので、2万円増額される形です。
2.1 在職老齢年金をシミュレーション
ケース別に、在職老齢年金による調整があるのかシミュレーションしてみます。
ケース1
- 年金の基本月額:8万円
- 総報酬月額相当額:22万円
この場合、合計額は30万円です。基準である50万円を下回るため、年金は満額支給されることになります。
ケース2
- 年金の基本月額:12万円
- 総報酬月額相当額:37万円
この場合、合計額は49万円となるので、2023年度は支給調整の対象でした。
しかし、2024年度からは50万円を下回るため、年金は満額支給されることとなります。
ただし注意したいのは、50万円が適用されるのは2024年6月14日支給の年金からということです。2024年度になって初めての年金支給日である4月15日は、2月と3月分の年金が対象となるので、これまでのルールが適用されます。