2. 厚生年金加入によって増える年金額
月収がアップして厚生年金に加入すると、保険料負担が発生する代わりに原則65歳から受給する老齢厚生年金の年金額がアップします。
2.1 老齢厚生年金の計算方法
2003年4月以降に初めて厚生年金に加入した場合、加算を除くと老齢厚生年金の受給額は次の通り計算します。
- 老齢厚生年金の受給額=平均標準報酬額(※)✕5.481/1000✕厚生年金の加入月数
※平均標準報酬額は、厚生年金加入中の標準報酬月額と標準賞与額の総額を厚生年金加入月数で割った金額です。標準報酬月額は保険料や年金額の計算基礎となる金額で、毎年4~6月の報酬を基に計算し原則9月から翌年8月まで適用されます。
厚生年金加入中の収入が高いほど、また厚生年金の加入月数が多いほど、老齢厚生年金の受給額は大きくなります。
2.2 老齢厚生年金額のシミュレーション
厚生年金に加入した場合、どれだけ年金額が増えるかシミュレーションしてみましょう。
前提条件は次の通りです。
- これまで厚生年金に加入したことがない
- 平均標準報酬額は10万円、12万円、15万円
- 20歳から60歳まで国民年金または厚生年金に加入し未納はない
平均標準報酬額と厚生年金加入期間によって老齢厚生年金の受給額(年額)は次の通りです。
これは年額なので平均月額に換算するとあまり大きな金額ではありませんが、終身で受給できるため、受給総額はまとまった金額になります。
例えば、平均標準報酬額12万円で厚生年金加入期間が10年の場合、65歳から85歳まで受給できれば、総額は約158万円(=約7万9000円×20年間)になります。
3. 厚生年金加入によるメリットとデメリット
厚生年金に加入するメリットは、老後にもらえる年金が増えるだけではありません。
所定の障害状態になった場合に障害厚生年金が受けられたり、死亡したときに家族に遺族厚生年金が支給されることもあります。
一方、デメリットは厚生年金保険料を支払わなければならないことです。
保険料支払いのため、手取り給与が減ってしまうこともあります。
4. 扶養内パートの年金を考える
月収8万円から12万円にアップすると、年金制度が国民年金(第三号被保険者)から厚生年金に変わります。
これまで保険料負担がなかった人にも、厚生年金保険料の支払いが発生します。
一方で、厚生年金に加入することで、65歳からもらえる老齢厚生年金が増えます。
少子高齢化により、女性の労働参加が求められるとともに、長生きに備えた老後資金準備も必要になることから、しっかり働いてしっかり年金をもらうことも検討してみましょう。
参考資料
西岡 秀泰