公務員といっても、「国家公務員」と「地方公務員」では待遇が異なります。さらに、公務員に準ずる「みなし公務員」として働く方々もおり、その中には非正規公務員として働く方々もいます。
公務員といえば「安定した職業」というイメージを持つ方は多いと思いますが、正規の公務員と非正規の公務員とでは大きな格差があり、社会的にも大きな問題となっています。
3月の年度末には定年退職を控えている公務員の方も多いですが、非正規の場合はこうした退職金にも格差が出るのが現状なのです。
今回は、公務員とみなし公務員の違いや、給与・退職金の格差について見ていきましょう。
1. 公務員とみなし公務員の違い
公務員とは、国や地方自治体に雇用され、公的な職務を担う方々のことを指します。一方で、みなし公務員とは、正規の公務員ではないものの、公的な職務を行う方々のことです。
具体的には、日本郵便の職員や国立大学法人の職員、公共インフラ系の職員などが該当します。
さらに、みなし公務員の中には比較的短期間の契約や非定期的な勤務形態で働く非常勤、臨時、契約職員なども含まれます。
正規の公務員とは異なり、雇用条件や福利厚生、給与体系においても異なる扱いを受けることが一般的です。
2. 公務員と非正規公務員の給与・退職金格差
公務員の給与は、基本給に加えて担当する職務に応じた職務給や、勤務地域に応じた地域手当などが加算されます。
公務員は長く働くほど、また昇進するほど給与が増える仕組みになっています。
みなし公務員においては、企業の業績内容や規定などに左右される可能性はありますが、公務員に準ずる立場として、一般企業に比べれば安定性が高いと言えます。
ただし非正規公務員の場合は、契約で定められた基本給のみで構成されていることが多く、追加の手当が少ないか、全くないのが一般的です。
また、非正規の場合は長く働いたとしても給与に大きく反映されにくいのが現状であり、公務員と非正規公務員の間には大きな格差が生まれています。
日本自治体労働組合総連合の調査によると、アンケートに答えた非正規公務員の約6割が年収200万円未満とのことですが、国家公務員の平均年収は約677万円(令和5年国家公務員給与等実態調査より)です。
したがって、正規と非正規では400万円以上の差が生まれるケースも十分にあるということです。
退職金に関しても、公務員と非正規公務員の間では大きな格差が存在します。正規の公務員は勤続年数などに応じて退職金が支払われますが、非正規公務員の場合、退職金が全く支給されない場合もあります。
3. 「会計年度任用職員制度」の導入による弊害も
会計年度任用職員制度とは、地方公務員法の改正に伴い、2020年度から導入された非常勤職員の制度です。
会計年度任用職員は全国で約62万人おり、そのうち約55万人がパートタイムとなっています。
従来までの非正規職員の勤務条件を見直すことを目的に導入されましたが、実際には問題点も多いようです。
同制度は一会計年度内(4月1日~翌年3月31日)での雇用となるのですが、年度末に理不尽な「雇い止め」が発生するケースが多発しています。
また、雇用更新のための公募や選考が年度末ぎりぎりになるなど、翌月から職を失う不安を抱えたまま年度末を迎える方もいるとのこと。専門性や経験が評価されず、低賃金での労働を余儀なくされている状況に加え、雇用への不安を抱えている方も多いのが実状なのです。
職員のモチベーション低下、職務に慣れた職員の雇い止めなどにより、公共サービスの質の低下にもつながり得ることから、決して当事者だけの問題とは言えません。
4. 少しずつ改善に向けた動きも見られるが、課題も多い
そういった状況を踏まえて、少しずつではあるものの改善の兆しも見られます。全国各地で非正規職員の待遇の改善を目指す団体などによる問題提起が行われ、それに伴い政府でも改善に向けた動きが見られます。
一例としては、会計年度任用職員に対する「勤勉手当」の支給に向けた動きがあり、2024年度から導入される見込みです。
また、自治体によっては非正規職員の待遇を改善するなどの動きもあるようです。
しかし、依然として課題は山積しており、低賃金・雇用不安に苦しむ非正規公務員は多くいます。そのため、できるだけ早く、労働者の待遇改善と雇用の安定が求められています。
参考資料
加藤 聖人