2. 80歳代の方の年金受給額

80歳代の方の年金額も、同様に見てみましょう。

2.1 厚生年金保険(第1号)の年金額(80歳~89歳)

70歳代と比べてみると、やはり平均年金月額が高いということがわかります。

年齢が上がるほど、平均年金月額もおおむね増えているようです。

  • 80歳:15万1109円
  • 81歳:15万3337円
  • 82歳:15万5885円
  • 83歳:15万7324円
  • 84歳:15万8939円
  • 85歳:15万9289円
  • 86歳:15万9900円
  • 87歳:16万732円
  • 88歳:16万535円
  • 89歳:15万9453円

厚生年金保険(第1号)の方の年金額は、明らかに「80歳代の方が多い」ということがわかりました。

年齢が高くなるほど、厚生年金の受給額はあがるようです。

2.2 国民年金(基礎年金)の年金額(80歳~89歳)

国民年金額は70歳代と同じように、どの年齢を見ても5万5000円台から5万7000円台と大きく差がないことがわかります。

3. 厚生年金の受給額「年齢が高いほどあがる」のはなぜ?

70歳代と80歳代を比べた場合、厚生年金保険(第1号)については、80歳代の方が平均値は高いことがわかります。

給与額や勤務年数(厚生年金の加入期間)は人それぞれ違うのですが、年代によって違うのが、厚生年金の計算の基礎となるものです。

3.1 厚生年金の受給額の計算式

厚生年金の計算方法は経過的加算分を除き、報酬比例部分と同様の計算方法で計算できます。

報酬比例部分 = A + B

A : 平成15年3月以前の加入期間

平均標準報酬月額 × 7.125 / 1000  × 平成15年3月までの加入期間の月数

Aの太字部分は、1946年4月1日以前の方は、生年月日により7.230〜9.500と高くなります。

B : 平成15年4月以降の加入期間

標準報酬額    × 5.481 / 1000  × 平成15年4月以降の加入期間の月数

Bの太字部分は、1946年4月1日以前の方は、生年月日により5.562〜7.308と高くなります。

3.2 従前額保障とは

また、年金には従前額保障というものがあります。

平成6年の水準で標準報酬を再評価して年金額を計算しましたが、上記の計算式で計算した額が従前額を下回る場合は、従前額が報酬比例部分の額となります。

報酬比例部分(従前額) = ( A + B )× 1.014 (1938年4月1日以前生まれは1.016)

A : 平成15年3月以前の加入期間

平均標準報酬月額 × 7.5 / 1000  × 平成15年3月までの加入期間の月数

Aの太字部分は、1946年4月1日以前の方は、生年月日により7.610〜10.000と高くなります。

B : 平成15年4月以降の加入期間

標準報酬額    × 5.769 / 1000  × 平成15年4月以降の加入期間の月数

Bの太字部分は、1946年4月1日以前の方は、生年月日により5.854〜7.692と高くなります。

計算方法は覚える必要はありませんが、今回の資料を見ても年齢が高い世代の方が多くの年金をもらっていることがわかります。

現役世代の方は、年金がもらえなくなることはないと思いますが、年金が少なくなることは、なんとなく感じていると思います。

4. 年金以外の老後対策も

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年金の制度や計算方法は個人では変えることはできませんが、現役世代の方は年金を受給するまでには、時間があります。老後資金を貯めることも考えていきましょう。

もちろん今の生活が大事ですが、将来のことも心配だと思います。

今から準備できることとしては、

  • 厚生年金に長く加入する
  • 貯蓄
  • 新しくなったNISAの活用
  • 自分自身で積み立て運用できるiDeCo

などがあります。うまく活用して、将来の資金を準備しましょう。

参考資料

香月 和政