60歳代で働くシニアも多い現代において、いまの現役世代の老後がはじまるのは「70歳代から」という方も増える可能性があります。
厚生労働省の調査した令和3年時点の平均寿命は男性が81.47歳、女性が87.57歳となっており、「人生100年時代」といわれる現代においては、70歳でリタイアした後の老後が20~30年ということも考えられるでしょう。
少子高齢化の日本において、70歳代からの老後を自分らしく過ごすためには、年金とともに貯蓄が重要と考えられます。
ただし平均年収400万円台が約30年続き、物価や社会保険料が年々上がる現代の日本において、まとまった貯蓄を用意するのは簡単ではありません。
では、現代のシニアはどれくらいの貯蓄を保有しているのでしょうか。年金額についても見ていきます。
1. 70歳代「貯蓄3000万円以上」は何パーセントか【二人以上世帯】
今回は金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]令和4年調査結果」をもとに、70歳代の貯蓄を確認します。
1.1 70歳代・二人以上世帯の貯蓄額の一覧表
- 平均:1905万円
- 中央値:800万円
- 非保有:18.7%
- 100万円未満:5.9%
- 100万円~200万円未満:4.1%
- 200万円~300万円未満:2.8%
- 300万円~400万円未満:4.0%
- 400万円~500万円未満:2.2%
- 500万円~700万円未満:7.5%
- 700万円~1000万円未満:6.5%
- 1000万円~1500万円未満:10.3%
- 1500万円~2000万円未満:7.1%
- 2000万円~3000万円未満:10.0%
- 3000万円以上:18.3%
- 無回答:2.7%
二人以上世帯の貯蓄は平均で2000万円近くですが、これには一部の富裕層の影響もあります。
より実態に近い中央値を見ると800万円まで下がりました。
70歳代になると仕事を辞める人も多く、生活費の補填や病気をした際のお金、介護費用などを考えると、中央値の800万円では心もとない家庭もあるでしょう。
貯蓄3000万円以上は18.3%でした。
一方で貯蓄ゼロ世帯も18.7%となっており、70歳代の貯蓄格差がわかります。
2. 70歳代「貯蓄3000万円以上」は何パーセントか【ひとり世帯】
次に金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」よりひとり世帯の貯蓄を確認します。
2.1 70歳代ひとり世帯の貯蓄額の一覧表
- 平均:1433万円
- 中央値:485万円
- 非保有:28.3%
- 100万円未満:5.2%
- 100~200万円未満:4.0%
- 200~300万円未満:4.2%
- 300~400万円未満:4.6%
- 400~500万円未満:3.0%
- 500~700万円未満:8.8%
- 700~1000万円未満:4.8%
- 1000~1500万円未満:5.6%
- 1500~2000万円未満:5.8%
- 2000~3000万円未満:8.2%
- 3000万円以上:16.1%
- 無回答 :1.2%
ひとり世帯は平均・中央値ともに二人以上世帯より下がりますが、中央値は500万円以下となりました。
貯蓄3000万円以上は16.1%と二人以上世帯と大差ないですが、貯蓄ゼロ世帯は28.3%と約10ポイント増えています。
ひとり世帯では一人分なのでそこまで貯蓄が必要ない印象がありますが、病気や介護費用などを考えるとまとまった貯蓄を保有しておきたいところでしょう。
3. 【12月公表】70~79歳は毎月「厚生年金」「国民年金」をいくら受給しているのか
貯蓄3000万円以上の人がいる一方で、心もとない世帯もみられましたが、では70歳代は毎月どれくらい年金を受給しているのでしょうか。
12月に公表された厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より、70~79歳の年金月額を見ていきましょう。
3.1 【国民年金】70歳代の「年金月額一覧表」
- 70歳:5万7320円
- 71歳:5万7294円
- 72歳:5万7092円
- 73歳:5万6945円
- 74歳:5万6852円
- 75歳:5万6659円
- 76歳:5万6453円
- 77歳:5万6017円
- 78歳:5万5981円
- 79歳:5万5652円
3.2 【厚生年金】70歳代の「年金月額一覧表」
- 70歳:14万1350円
- 71歳:14万212円
- 72歳:14万2013円
- 73歳:14万5203円
- 74歳:14万4865円
- 75歳:14万4523円
- 76歳:14万4407円
- 77歳:14万6518円
- 78歳:14万7166円
- 79歳:14万8877円
※国民年金部分を含む
国民年金では5万円台、厚生年金では14万円台となりました。
しかし一律の保険料を支払う国民年金とは違い、収入に応じた保険料を支払う厚生年金は個人差が大きくなります。
20歳代~50歳代までは収入も変わりやすいですし、また転職や雇用形態の変化、一時的に専業主婦(夫)になるなどもあり、将来の年金受給額は個人差が大きくなります。
詳しくはねんきんネットでご自身の受給予定額を調べることが大切でしょう。
4. 「70歳以上で働いています」18.1%に
最後に70歳代の就業率も確認しましょう。
総務省によれば、2021年の70歳以上で働く割合は18.1%です。2012年の13.1%に比べて増えていますが、それでも70歳以上は約8割がリタイアしています。
貯蓄が心もとない場合は長く働き続けることを考える方もいるでしょう。
できるだけ働いて収入を得ることは大切な一方で、長く働き続けたくでも、年齢を重ねると自分の思う通りにはいかないこともあるでしょう。「働けなくなったとき」に備えることも重要です。
5. リタイア後のための資産形成を
今回は貯蓄3000万円以上の割合や年金月額を見てきました。
老後資金に備えが必要といっても、その「老後資金」にはさまざまな種類があります。
主に考えられるのは以下の通りでしょう。
- 生活費の補填
- 旅行やレジャー
- 趣味
- 身内や友人との付き合い費用
- 冠婚葬祭
- ケガや病気をしたときの費用
- 介護費用
- リフォーム費用など
上記の中でも多くの方が特に用意しておきたいのが「生活費の補填」や「病気、介護に関わる費用」です。
特に生活費は毎月かかるものであり、昨今のように物価高ともなればその負担が増える可能性もあります。
老後の生活費を考える際に、現役時代からできるのは「支出を抑える方法を考える」とともに、「老後の収入を増やすこと」です。
まずは公的年金の受給予定額を確認したら、公的年金を増やす方法を考えたり、私的年金で備えたり、また預貯金だけでなく資産運用などで老後資金を準備することが大切です。
仕事も大事な一方で、自分が働けなくなったあとには公的年金や私的年金、貯蓄、資産運用などが生活を支えてくれることになります。
「人生100年時代」といわれる現代において、上記について早くはじめて備えていくことが大切でしょう。
2024年から新NISAもはじまります。これを機に、まずは老後に向けて情報収集からはじめてはいかがでしょうか。



