税金と社会保険料の仕組みは年々変化しています。そのため、同じ年収でも手取りは年代によって異なります。
では、20年前と現在を比較した場合には、どちらのほうが手取りが多いのでしょうか。
本記事では、一般的に高年収とされる「年収700万円」の会社員の20年前と現在の手取りをシミュレーションするので、ぜひ参考にしてみてください。
1. 年収700万円の人はどれくらいいるのか
まずは、年収700万円の人がどれくらいいるのかを確認してみましょう。国税庁長官官房企画課「令和4年分民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の年収分布は以下のとおりです。
1.1 給与所得者の年収分布
年収 割合
- 100万円以下 7.8%
- 100万円超200万円以下 12.7%
- 200万円超300万円以下 14.1%
- 300万円超400万円以下 16.5%
- 400万円超500万円以下 15.3%
- 500万円超600万円以下 10.9%
- 600万円超700万円以下 6.9%
- 700万円超800万円以下 4.8%
- 800万円超900万円以下 3.3%
- 900万円超1000万円以下 2.2%
- 1000万円超1500万円以下 4.0%
- 1500万円超2000万円以下 0.8%
- 2000万円超2500万円以下 0.3%
- 2500万円超 0.3%
年収700万円超800万円以下の人の割合は、4.8%です。また、年収700万円超の人の割合は15.7%なので、約6.4人に1人しか年収700万円を超えていません。
やはり、年収700万円は一般的に高年収であることがわかります。
2. 【現在】年収700万円の手取りはいくらか
さっそく、年収700万円の手取りを確認してみましょう。まずは、現在における年収700万円の人の手取りを確認します。以下の条件でシミュレーションしてみましょう。
シミュレーション条件
- 東京都勤務の45歳会社員
- 年収700万円(月給45万円×12ヶ月+ボーナス80万円×2回)
- 既婚(配偶者は専業主婦(夫))
- 14歳の子どもが1人
- 住まいは埼玉県(住宅ローン残高なし)
- 生命保険料控除や医療費控除・寄付金控除の適用なし
シミュレーションの結果は以下のとおりです。
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筆者作成
2.1 【現在】年収700万円の手取り
- 健康保険料(介護保険料含む):40万5000円
2万6004円(月給分)×12ヶ月+4万6689円(ボーナス分)×2ヶ月分 - 厚生年金保険料:60万2000円
4万260円(月給分)×12ヶ月+5万9475円(ボーナス分)×2ヶ月分 - 雇用保険料:4万2000円
700万円×0.6% - 所得税:23万6000円
(700万円(額面年収)ー48万円(基礎控除)ー180万円(給与所得控除)ー104万9496円(社会保険料控除)ー38万円(配偶者控除))×10%ー9万7500円+4863円(復興特別所得税) - 住民税:34万4000円
(700万円(額面年収)ー43万円(基礎控除)ー180万円(給与所得控除)ー104万9496円(社会保険料控除ー33万年(配偶者控除))×10%+5000円(均等割) - 手取り:537万円
700万円ー40万5000円(健康保険料)ー60万2000円(厚生年金保険料)ー4万2000円(雇用保険料)ー23万6000円(所得税)ー34万4000円(住民税)
*各数値の計算で四捨五入をおこなっているため、計算式と計算結果が一致していません。
手取りは537万円で、額面年収に対する手取り率は76.7%です。税金と社会保険料の内訳としては、厚生年金保険料が60万2000円でもっとも高くなっています。
3. 【20年前】年収700万円の手取りはいくらか
次に、20年前における年収700万円の人の手取りを確認しましょう。2003年1月時点の税制などを適用します。シミュレーション条件は、さきほどのシミュレーションと同様で以下のとおりです。
シミュレーション条件
- 東京都勤務の45歳会社員
- 年収700万円(月給45万円×12ヶ月+ボーナス80万円×2回)
- 既婚(配偶者は専業主婦(夫))
- 14歳の子どもが1人
- 住まいは埼玉県(住宅ローン残高なし)
- 生命保険料控除や医療費控除・寄付金控除の適用なし
シミュレーションの結果は以下のとおりとなります。
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筆者作成
3.1 【20年前】年収700万円の手取り
- 健康保険料(介護保険料含む):26万6000円
45万円×12ヵ月×4.785%(健康保険料率)×12ヶ月+80万円(ボーナス分)×2ヶ月分×0.5% - 厚生年金保険料:46万8000円
45万円×12ヶ月×8.675%(厚生年金保険料率) - 雇用保険料:4万9000円
700万円×0.7%(雇用保険料率) - 所得税:25万4000円
(700万円(額面年収)ー38万円(基礎控除)ー190万円(給与所得控除)ー78万3840円(社会保険料控除)ー38万円(配偶者控除)ー38万円(年少扶養控除))×10%×80%(定率減税控除分) - 住民税:29万3000円
(700万円(額面年収)ー33万円(基礎控除)ー190万円(給与所得控除)ー78万3840円(社会保険料控除ー33万円(配偶者控除)ー33万円(年少扶養控除))×10%×ー4万円(定率減税控除分) - 手取り:567万円
700万円ー26万6000円(健康保険料)ー46万8000円(厚生年金保険料)ー4万9000円(雇用保険料)ー25万4000円(所得税)ー29万3000円(住民税)
手取りは567万円で、現在と比べて30万円も手取りが多いです。これは、主に社会保険料が安いことが要因となっています。
2003年1月時点では、ボーナスに対して0.5%しか社会保険料がかかりませんでした。そのため、ボーナス160万円(2ヵ月分)に対して発生する社会保険料が極端に安くなっています。
所得税と住民税に関する税制も色々と変化していますが、所得税と住民税の金額合計で見ると20年前と現代で金額にそこまで大きな違いはありません。
4. 物価も上昇している
20年前と比べて手取りが少なくなっていることを確認しましたが、物価は近年上昇を続けています。そのため、20年前と年収が変わらない場合、手取りが少なくなる一方で物価は上がるため、生活は苦しくなるでしょう。
資産運用でお金を増やしたり転職や副業で収入を増やしたりすることで、生活を少しでも楽にできるよう工夫をしてみてもいいかもしれません。
参考資料
- 国税庁企画課データ活用推進室「令和4年分民間給与実態統計調査について」
- 東京都「令和5年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表 」
- 厚生労働省・都道府県労働局長・ハローワーク「令和5年度雇用保険料率のご案内 」
- 国税庁「No.2260 所得税の税率」
- 国税庁「No.1410 給与所得控除」
- 国税庁「No.1191 配偶者控除」
- 埼玉県「個人県民税」
苛原 寛