政府は、高校生の子どもがいる世帯における扶養控除を縮小する方向で調整に入りました。そのため、高校生の子どもがいる世帯は支払う税金が増えることとなります。
一方で、2024年12月からは児童手当が拡充する予定です。
支払う税金が増えるけれど、もらえる手当金も増えるため、最終的にお得なのか損なのか疑問に思う人もいるでしょう。
本記事では、扶養控除縮小と児童手当拡大の詳細、最終的にお得なのか損なのかをシミュレーションするので、ぜひ参考にしてみてください。
1. 扶養控除縮小へ
政府が検討している案では、高校生世代の子どもを扶養する場合に適用可能な扶養控除を所得税は年間38万円から25万円に、住民税は年間33万円から12万円に縮小する調整に入りました。
扶養控除が縮小されれば課税対象となる所得が増えるため、納める所得税と住民税は増額となります。そのため、扶養控除縮小は家庭にとって悪いニュースです。
2. 児童手当はゼロから月額1万円へ拡充
扶養控除が縮小される一方で、2024年12月から児童手当は拡充されます。
今まで高校生の子どもは児童手当の支給対象外でしたが、2024年10月からは高校生の子ども1人につき月額1万円が支給される予定です。
さらに、第3子以降については月3万円をもらえます。また、児童手当の所得制限も撤廃されるため、誰でも児童手当の受給が可能です。
3. 扶養控除縮小と児童手当拡充で最終的にお得なのか損なのか
扶養控除縮小と児童手当拡充がどちらも予定されているため、最終的にお得なのか損なのか疑問に感じる人もいるかもしれません。
そこで、高校生の子どもを1人持つモデル夫婦世帯で、扶養控除縮小と児童手当拡充によってどのように手取り収入が変わるのかをシミュレーションしてみましょう。
モデル夫婦の条件は以下のとおりです。
- 共働き世帯
- 夫は東京都中小企業勤務の52歳
(年収600万円で月給40万円×12ヶ月+ボーナス60万円×2回) - 妻は東京都中小企業勤務の48歳
(年収400万円で月給28万円×12ヶ月+ボーナス32万円×2回) - 子どもは高校1年生
- 住まいは埼玉県(住宅ローン残高なし)
- 生命保険料控除や医療費控除・寄付金控除等の適用なし
扶養控除縮小と児童手当拡充が適用されない現在の手取り収入のシミュレーション結果は以下のとおりとなります。
3.1 【現在】年収600万円の夫の手取り
- 健康保険料:36万1000円
2万4231円(月給分)×12ヶ月+3万4869円(ボーナス分)×2ヶ月分
- 厚生年金保険料:55万8000円
3万7515円(月給分)×12ヶ月+5万3985円(ボーナス分)×2ヶ月分
- 雇用保険料:3万6000円
600万円×0.6%
- 所得税:16万円
(600万円(額面年収)ー48万円(基礎控除)ー164万円(給与所得控除)ー95万4660円(社会保険料控除)ー38万円(扶養控除))×10%ー9万7500円+3298円(復興特別所得税)
- 住民税:27万円
(600万円(額面年収)ー43万円(基礎控除)ー164万円(給与所得控除)ー95万4660円(社会保険料控除)ー33万円(扶養控除))×10%+5000円(均等割)
- 手取り:461万5000円
600万円ー36万1000円(健康保険料)ー55万8000円(厚生年金保険料)ー3万6000円(雇用保険料)ー16万円(所得税)ー27万円(住民税)
3.2 【現在】年収400万円の妻の手取り
- 健康保険料:23万6000円
1万6548円(月給分)×12ヶ月+1万8912円(ボーナス分)×2ヶ月分
- 厚生年金保険料:36万6000円
2万5620円(月給分)×12ヶ月+2万9280円(ボーナス分)×2ヶ月分
- 雇用保険料:2万4000円
400万円×0.6%
- 所得税:8万4000円
(400万円(額面年収)ー48万円(基礎控除)ー124万円(給与所得控除)ー62万6400円(社会保険料控除))×5%+1736円(復興特別所得税)
- 住民税:17万5000円
(400万円(額面年収)ー43万円(基礎控除)ー124万円(給与所得控除)ー62万6400円(社会保険料控除))×10%+5000円(均等割)
- 手取り:311万4000円
400万円ー23万6000円(健康保険料)ー36万6000円(厚生年金保険料)ー2万4000円(雇用保険料)ー8万4000円(所得税)ー17万5000円(住民税)
*各数値算出における端数処理の関係で、手取りの計算式の答えと記載の数値に差が生じています。
夫婦合計の手取りは772万9000円で、額面1000万円に対して合計で約227万1000円の税金と社会保険料が引かれています。
3.3 【扶養控除縮小後】年収600万円の夫の手取り
では、扶養控除縮小と児童手当拡充がどちらも適用された場合、この手取りはどのように変わるのでしょうか。
扶養控除が適用されるのは夫のみのため、まずは扶養控除縮小後の夫の手取りを確認します。扶養控除縮小後の夫の手取りは以下のとおりです。
- 健康保険料:36万1000円
2万4231円(月給分)×12ヶ月+3万4869円(ボーナス分)×2ヶ月分
- 厚生年金保険料:55万8000円
3万7515円(月給分)×12ヶ月+5万3985円(ボーナス分)×2ヶ月分
- 雇用保険料:3万6000円
600万円×0.6%
- 所得税:17万4000円
(600万円(額面年収)ー48万円(基礎控除)ー164万円(給与所得控除)ー95万4660円(社会保険料控除)ー25万円(扶養控除))×10%ー9万7500円+3298円(復興特別所得税)
- 住民税:29万1000円
(600万円(額面年収)ー43万円(基礎控除)ー164万円(給与所得控除)ー95万4660円(社会保険料控除)ー12万円(扶養控除))×10%+5000円(均等割)
- 手取り:458万1000円
600万円ー36万1000円(健康保険料)ー55万8000円(厚生年金保険料)ー3万6000円(雇用保険料)ー17万4000円(所得税)ー29万1000円(住民税)
夫の手取りは458万1000円です。扶養控除が縮小されたことにより、手取りは減っています。妻の手取りは変わらないため、夫婦合計での手取りは769万5000円となります。
この769万5000円に児童手当年間12万円が追加されるため、最終的な夫婦の手取り収入は781万5000円です。
扶養控除縮小後と児童手当拡充により、最終的に夫婦合計の手取り収入は8万6000円の増額(781万5000円ー772万9000円)となります。
扶養控除縮小による手取り減少分を、児童手当の拡充分が大きく上回っています。そのため、扶養控除縮小後と児童手当拡充で最終的には得をすることがわかります。
4. 子育てにはお金がかかる
扶養控除縮小と児童手当拡充について解説しましたが、子育てにお金がかかることに変わりはありません。
特に、最近は物価高でさまざまなモノやサービスの値段が上がっています。今後も、子ども1人にかかるお金は増えていくでしょう。
コツコツと貯蓄をする習慣を身に着けて、子育て費用の用意を始めてみてください。


