ただし、規制強化の動きは必ずしも負の側面ばかりではありません。たとえば、日本では法整備が進んだことで仮想通貨のメッカに躍り出たといえるでしょう。
日本ではいわゆる“仮想通貨法”が2016年5月に可決され、2017年4月1日から導入されました。仮想通貨取引所が登録制となり、9月29日には正式な登録業者が公表されるなど、投資環境を整えています。
また、投資環境の整備は民間でも進んでいます。モルガン・スタンレーは18日、機関投資家向けのビットコイン先物決済サービスへの参加を表明しました。ウォール街では既にゴールドマン・サックスが同様のサービスを提供することを明らかにしています。
さらに、ニューヨーク証券取引所(NYSE)の親会社であるインターコンチネンタル取引所(ICE)は18日、仮想通貨に関するデータを機関投資家に提供するサービスの開始を発表。日本でも三菱東京UFJ銀行が15日、仮想通貨「MUFGコイン」を発行し、2018年度中に自らの取引所を開設するとしています。
また、国家レベルでも仮想通貨発行の動きがあります。最近ではベネズエラが原油を裏づけとする仮想通貨“ペドロ”による資金調達を試みていますし、イギリス、カナダ、ロシアなどでは以前から開発が伝えられています。
こうした中、シンガポールで仮想通貨プロジェクトが進んでおり、シンガポール中銀も仮想通貨発行の可能性を否定していないことから、最初の“法定仮想通貨”の登場が期待されています。
バブルははじけても技術は生き残る
仮想通貨がバブルかどうかの議論は後を絶ちませんが、未来を予言することはできませんので、上がるとか下がるとかを考えてもあまり得るものはないのかもしれません。
また、ITバブルで破裂したのはIT企業の株価であってITそのものではありません。優れた技術は生き残ります。仮想通貨の仕組みを支えているブロックチェーンや暗号技術が将来も有望であるのかどうかが重要となりそうです。
仮想通貨に好意的なシンガポールの通貨当局者は、最近の仮想通貨の急落に関して「熱狂が覚め相場が崩壊しても、仮想通貨やブロックチェーンに関連するより深く有意義な技術(の発展)が阻害されないことを望んでいる」とコメントしています。
24日の格付け公表に注目
こうした中、米格付け会社Weiss Ratingsが24日にビットコインを含む主要仮想通貨の格付けの公開を予定しています。ここには少なくとも時価総額上位の15銘柄が含まれるようですが、同社は「多くの仮想通貨が過大評価されており、暴落のリスクがある」と指摘しています。
格付けは“安全性”に基づいており、決して“値上がりしそうなリスト”ではありません。どのような評価が下されるのかに関心が集まっています。また、これを機に大手格付け機関も追随すると考えられていますので、今後の動きにも注目です。
LIMO編集部