2. 収入から引かれるものがある
給与には、基本給以外に通勤手当や時間外手当、資格手当、住宅手当など、追加で支給されるものもあれば、給与から引かれるものもあります。
主なものとして、所得税や住民税、社会保険料の雇用保険や厚生年金、健康保険料などがあります。
学生の間にアルバイトをしていた方は、所得税がかかっていた方もいるかもしれませんが、所得税以外に控除(支払うもの)もあります。
それらは、納付漏れのないように給与の中から勤務先が支払ってくれます。
2.1 社会保険が引かれる
では、どんなものが引かれるのか、例を挙げながら進めていきましょう。
渋谷区にお住まいのAさん、実家は渋谷区でしたが、大学を卒業し今年4月から住民票も1人暮らしとして現住所に移りました。
給与支給額は22万8500円で、職場へも歩いて通える場所に住んでいます。
学生の間は親の扶養に入っており、アルバイトもしていましたが、年収も95万円で親御さんとの「103万円は超えない」という約束を守っていました。
働きだしてからは自分で社会保険にも加入することになり、健康保険や厚生年金、雇用保険にも加入しなくてはなりません。
学生の間は、給与をもらってもせいぜい引かれるのは所得税だけ、年末調整されて年末には少しだけ所得税が調整されて還ってきていました。
しかし、働き出すと、他に引かれるものがあります。
それは社会保険料で、通院や入院するときも負担が減りますし、年金や離職をした場合も、しっかりと自分の将来に役に立つこともあります。
その保険料が健康保険料は1万1000円、厚生年金は2万130円、雇用保険料1371円と、意外と大きな金額が給与から引かれています。
これらの保険料は労使折半と言い、勤務先も同じくらいの金額を払ってくれています。
2.2 所得税も引かれる
社会保険料以外にも引かれるもの、それは学生時代にも引かれていた所得税。給与が増えているので、引かれている所得税も多くなっています。
給与から税額表に当てはめると、月額4630円と意外と払っています。
こちらも年末調整時に精算し、多く払っていれば還付されます。
所得税の計算は、暦年課税といい1月1日から12月31日までの所得によって計算されますが、新卒1年目のAさんの場合、卒業する年の3月までのアルバイトの収入も給与収入として計算されます。
2.3 住民税も引かれるのか
住民税は前年の所得によって計算されます。
Aさんの前年の所得は、アルバイト収入だけでした。
渋谷区の場合、住民税が課税されるのは1月1日現在で区内に住んでいて、前年中に所得のあった人に課税されます。
区内に住所がなくても事務所・事業所・家屋敷のある人は、均等割額のみ課税されます。
しかし、課税されない方もいます。
所得割、均等割ともに非課税の人として、
- 生活保護法による生活扶助を受けている人
- 障害者、未成年者、寡婦またはひとり親で、前年中の合計所得が135万円以下の人(給与所得者の年収に直すと204万4000円未満)
- 前年中の合計所得金額が、次の計算式に当てはまる人
- 前年中の合計所得金額≦35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円
(注)単身者、前年中の合計所得金額が45万円以下の人
となっています。
Aさんの場合、学生中のアルバイトをしていた時の合計所得としては、給与所得として95万円の収入ですが、収入と所得は違いますので
給与収入 95万円 – 給与所得控除 55万円 = 給与所得40万円となり、単身者の前年中の合計所得金額が45万円に当てはまりますので、新入社員1年目については住民税がかからないようです。
勤め出して2年目になると1年目の収入があるため、住民税(所得割、均等割)がかかってきます。