近年における消費者の消費傾向は?

ここからは、消費者の「消費」に対する傾向を見ていきます。

消費性向は減少傾向にある

リーズナブルな価格帯のお店が銀座に出店するたびに日本における経済の停滞を不安視する声が挙がります。

「日本人は百貨店で買い物をしたり、ブランド品を買えなくなった」「日本の消費者は安価なサービスに頼りすぎているから経済が低迷している」といった意見は少なくありません。

低価格をウリにするショップが増えているのはそれだけ需要があるということですが、実際の消費に対する姿勢はどうでしょう。消費者庁のデータより買い物事情を見ていきます。

◆平均消費性向の推移(勤労者世帯における全体平均と世帯主が34歳以下の世帯)

  • 2015年:全体73.8% 34歳以下世帯68.2%
  • 2017年:全体72.1% 34歳以下世帯62.8%
  • 2019年:全体67.9% 34歳以下世帯59.0%
  • 2021年:全体62.8% 34歳以下世帯54.7%

消費者庁は「令和4年版【特集】 変わる若者の消費と持続可能な社会に向けた取組~18歳から大人の新しい時代へ~」において、34歳以下の世帯は全体平均と比較して、消費額が低いことを言及しています。

「イマドキの若者はお金を使わない」「若者はお金がない」という声は多いですが、財布の紐が固いことは事実なようです。

ちなみに、今年10月にオープンした「オーケー銀座」は「プランタン銀座」の跡地にオープンしましたが、プランタン銀座には20歳代や30歳代の女性を対象にしたフェミニン系・コンサバ系のアパレルブランドのテナントが多く入っていました。

また、【図表1】における「全体平均」と「34歳以下」の消費額性向に着目すると、いずれも2015年から2021年まで減少傾向にあることが分かります。

新型コロナウイルスなど消費を抑制する原因を差し引いたとしても、人びとが使うお金は明らかに減っているといえます。

物価高や円安、不安定な社会情勢が【図表1】にも表れているといえるでしょう。

※同調査では、勤労者世帯のうち世帯主が34歳以下の世帯は、全体平均よりも平均消費性向が低い一方で、平均貯蓄率が高いことを指摘しています。若い世代の多くが将来を懸念し、貯蓄に余剰資金をまわしていると考えられます。