今週末は大学入試センター試験、試験会場には余裕を持って

いよいよ受験シーズンの到来です。2018年の大学入試センター試験は、1月13日(土)と14日(日)に実施されます。最新の天気予報によれば、昨年と同様に、最大級の寒波が迫っている模様です。

試験で実力を十分に発揮するためには、体調管理に留意することは当然として、時間的な余裕を持って着席することも重要です。受験生には、クリスマスなど年末年始の華やかなイベントに目もくれず、ラストスパートに打ち込んだ成果を発揮してほしいところです。

こうして今年も大学受験シーズンが始まるわけですが、少子化が年々と顕著になる中、大学の経営状況はどうなっているのでしょうか。

少子化が進む中、私立大学の半数近くが定員割れ

文部科学省が発表する「私立大学の経営状況について(概要)」によれば、入学者数の減少が顕著であることが見て取れます。

入学定員に対する入学者数の割合(以下「入学定員充足率」)を見てみましょう。これが100%超となった(つまり、定員割れしていない)大学の割合は、平成8年度の96.2%に対して、20年後の平成28年度には55.5%へ大幅に低下しています。

ザックリ言えば、私立大学の半分近くは定員割れしているのです。

2割超の私立大学では、入学定員の8割を確保できず

今度は、入学定員充足率のハードルを80%に下げてみます。文科省は、入学定員の8割入学を1つの判断基準にしているからです。“定員の8割確保できればよし”ということでしょうか。

すると、平成8年度は99.3%とほぼ全校が満たしたのに対して、平成28年度は79.7%に低下しました。これは、全体の2割超の私立大学で、入学定員に▲20%以上の欠員が生じたことを意味します。

一方で、前述した入学定員充足率(100%、80%超)を満たさない比率は、ここ3~4年は下げ止まりの傾向が見られています。この要因としては、多くの大学が入試の合格ラインを引き下げる等して、受験生に“下駄を履かせた”可能性があります。それでも、こうした厳しい結果が出ているのです。

大学の収支状況を「帰属収支差額」で見てみる

次に、私立大学の収支状況を見てみましょう。ここでは、帰属収入(納入学費、寄付金、補助金等)から支出(人件費、教育研究費、減価償却費などほぼ全ての費用)を差し引いた「帰属収支差額」が重要です。

これは、一般事業会社の“営業利益”に近いものと考えていいでしょう。

4割弱の私立大学が“営業赤字”の状態に

この帰属収支差額がマイナスの大学、つまり、運営費用を学費収入等で賄えない大学は、平成4年度の52校(全体に占める割合13.8%)に対して、その22年後の平成26年度は219校(同37.0%)へと増加しています。

つまり、全体の約4割弱が“営業赤字”という状況です。

また、帰属収支額に対する割合(=帰属収支差額比率、全学合計)は、同じく19.5%から5.4%へ大幅に悪化しました。一般事業会社に例えれば、営業利益率が22年間で19.5%から5.4%へと大幅悪化したということでしょう。

短期大学の状況はさらに厳しく、約6割が“営業赤字”

ここまで論じてきた私立大学の対象は4年制大学です。実は、短期大学になると、さらに厳しい現状を見ることが出来ます。

平成28年度(以下同)に80%超の入学定員充足率を確保している短大は70.4%となっており、短大全体の3割が▲20%超の定員割れです。また、「帰属収支差額」がマイナスの比率は56.2%に上っており、6割に近い短大が“営業赤字”なのです。

短期大学の存在価値が問われていると言ってもいいかもしれません。

「大学の2018年(平成30年)問題」が追い打ちをかける?

こうした収支状況を見ると、学生数の減少が、大学の経営状況を大きく悪化させてきたことが明確に分かります。そして、これにさらなる追い打ちをかけそうなのが、「大学の2018年(平成30年)問題」です。そうです、今年なのです。

これは、18歳人口の減少と大学進学率の頭打ちにより、2018年から大学志願者数の大幅減少が予測される問題を指しています。仮に、大学側が入試合格ラインをもう一段引き下げても、入学者数が一層減少することは不可避と言われています。本当にそうなのか、今年の受験シーズン後に公表されるデータを待ちたいと思います。

こんな暗い話をしてから言うのも不謹慎かもしれませんが、何はともあれ、受験生の健闘を祈ります。

LIMO編集部